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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第二十七章―双剣―#6
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んが握ったままの剣が、やけに短い。あれは…、半ばから────折れている?

「!!」

 相対する2頭の変異種の手には────魔獣のものと同じ、漆黒の棍棒。

「レナス!ディンドたちの許へ向かえ!」
「御意!」

「レナス!アーシャとハルドの剣なら、あの棍棒と競り合うことができるから!」

 奔り出したレナスの背中に叫ぶと、レナスが僅かに振り返って頷いたのが見えた。

 こうなっては────先に、レド様の武具を棍棒と競り合えるよう改善すべきだろう。あの棍棒が他にもないとは限らない。

「レド様、折れた剣を直して、すべての武具の【(プロテ)(クション)】をかけ直します。そうすれば、あの棍棒に折られることはなくなります」
「頼む」

「ラムル、ジグ───少しの間、魔獣を押さえていてもらえますか?」
「「御意」」

 ラムルは、魔導機構に収めてあった大剣を取り寄せると、伺うように視線を寄越した。

「旦那様、【固有能力】を使うことを────お許しいただけますか?」

 ラムルの固有能力【回帰】は、かなり有力ではあるものの、相応の魔力が必要となる。

「許可する」

 レド様の承諾を受けて、ラムルの口角が僅かに上がる。そして────ラムルは【回帰】を発動させた。

 ラムルの体が、足元に展開した魔術式の発した光に包まれる。

 光が収まったときには、ラムルの体形は微妙に変化していた。元々胸板の厚い大柄な体格だったが、発動前に増して筋骨隆々となっている。


 ラムルは、本来、ファルリエム辺境伯家に騎士として仕えていたのだそうだ。

 セアラ様の側付きは別の者に任せる予定だったが、諸事情があってラムルに変更されたらしく────そのため、戦い方や得物を変えるにあたり、努力して身体も造り変えたとのことだ。

 騎士だった頃の得物である大剣は今でも扱えはするものの────本人曰く、以前に比べるべくもないらしい。手合わせした限りでは、それでも、Aランカーと渡り合えるくらいには強いと私は感じたけれど。

 騎士だった当時、その実力は────亡くなったファルリエム辺境伯に肩を並べるほどだったと、カデアが誇らしげに教えてくれた。

 この【回帰】という固有能力は、その騎士だった頃の体格や身体の状態を、魔力で再現させることができる。

 つまり────今のラムルは、亡きファルリエム辺境伯に匹敵する“剣士”ということだ。


「それでは、ジグ───行くぞ」
「は」

 私が降らせた氷刃を捌き切った魔獣に、ジグが2本の短剣と【疾風刃(ゲイル・ブレイド)】を、立て続けに放つ。

 大剣を構えたラムルが駆け出すのを見送ると、私はレド様へと視線を戻す。

 私は【|認識妨害
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