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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第二十七章―双剣―#6
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ィンド卿たちの前に立ちはだかるオーガに向かって【氷刃】を降らせて、近づく私とジグに気づいたディンド卿たちと視線を交わし、その立ち位置を入れ替えようとした────その瞬間。

 突如、野太い雄叫びが響き渡り、鼓膜を揺さぶった。

 足元も小さく揺れ始めて、妙な不安を掻き立てる。

 足元の揺れは、徐々に大きくなっていき────不意に、夜空に浮かぶ二つの月の光が遮られて、辺りに影が差す。

 私たちの目の前に現れた、月を背に佇むそれは────この群れを率いていると思しき巨体の魔獣。

「…まさか、変異種より先に動くとは、な」

 レド様が、私たちの気持ちを代弁するかのように呟く。

≪作戦を変更する。ディンド、ヴァルト、ハルド、アーシャは、スタンピード前方へ向かい群れを切り崩してくれ。ディンド、指揮を頼む≫
≪はっ≫
≪セレナはディンドたちの援護を頼む≫
≪はい…!≫

 ディンド卿たちが一斉に、右方向───スタンピード前方へと向かって奔り出す。魔獣の目線は私たちに据えたままで、離れていくディンド卿たちを気にする素振りも見せない。

 魔獣の標的は、おそらく、私と────レド様だ。

 レド様は、魔獣から視線を逸らすことなく、私たちに告げる。

「リゼ、レナス、ラムル、ジグ────俺たちは魔獣の相手だ」


◇◇◇


「逆光で視界が悪い。まずは立ち位置を変える」

 確かに、4mに届く魔獣の巨体で月光が遮られて───まったく見えないわけではないが、微妙に暗い。

 私たちが、それぞれ了承の意を返すと、レド様は続けて私の名を呼んだ。

「リゼ!」
「はい!」

 私は、魔獣の顔面を目掛け、最大規模の【疾風刃(ゲイル・ブレイド)】を放つ。

 風の刃は、右方向に逸れるように飛んでいく。魔獣は、左足を半歩下げることによって、それを避けた。

「行くぞ!」

 レド様に従って私たちは駆け出し、右方向───魔獣にとっては左側に回り込む。私たちを正面に捉えようと、魔獣はもう半歩左足を下げ────魔獣はスタンピード後方を背に、私たちはスタンピード前方を背にして、対峙する形となる。

 月光が真横から降り注ぎ、魔獣を照らす。

 先程はよく見えなかったが、魔獣はその身に合った大きさの棍棒を握っていた。

 それは闇に沈むように黒く、所々に突起のようなものがあって────まるで、前世で見た“地獄絵”に描かれている“鬼”が持つ“金棒”のようだ。

 ただの棍棒とは思えず、私は【(インサイ)(ト・アイズ)】を発動させた。


【魔獣の棍棒】
 木製の棍棒をベースに、魔物の血と魂魄で創られた棍棒。位階は【霊剣】。


 棍棒なので違和感があるが、位階とし
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