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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#5
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ただけの最小限の動きでそれを避ける。

 オーガは戦斧を下ろし切ることなく、膂力で以て強引に右方向───ガレスからすれば左方向へと軌道を変えた。
 ある程度振り切ると、今度は逆方向に向かって戦斧を振るう。

 横薙ぎに振るわれた戦斧を避けようとして───ガレスは、ふと先程のユリアの動きを思い出した。

 ガレスは避けるのをやめて、戦斧を大剣で受ける。大剣を握る両手以外に、力は籠めない。

 当然────オーガの戦斧に、ガレスの大剣は大きく弾かれた。

 大剣がすっぽ抜けないよう、ガレスは柄を持つ両手に一層力を籠める。

 右足を軸にして身体を回転させて、重量のある大剣を弾かれた衝撃を利用して振り回す。ガレスは一回転しつつ、腕に力を入れて刃の向かう先がオーガの首元になるよう、修正する。

 勢いに乗った大剣の刃は、戦斧を振り切り無防備だったオーガの首を難なく刈り取った。

 オーガの硬い首を斬って勢いは落ちたものの、まだ半回転はしてしまいそうな大剣を、ガレスは何とか地面に打ち付けて止める。

 オーガの切り離された首がまず地面に落ちて、次に戦斧───首を失った身体が、砂煙を上げて倒れ込んだ。

 後方で待機していたオークたちが、オーガの死を認めて、こちらへと迫り来る。大剣を構えようとして、ガレスは左足の痛みに顔を(しか)めた。

 それでも痛みを噛み殺して構えようとしたとき────1頭のオークの分厚い頬にナイフが突き刺さった。次いで、ガレスのすぐ右側を槍が走る。

「悪い、ギルマス、遅くなった!」

 右手に片手剣、左手に大振りの短剣を持った若い男が、そう叫びながら駆け込んで来た。『栄光の扉』のリーダーだ。

「後は任せてくれ!」
「ああ、頼んだぞ」

 内心ほっとしつつ、ガレスは『栄光の扉』の面々に場所を明け渡す。


 エイナとユリアの方を窺えば───ユリアが倒れ込んだオークの首を落としているところだった。それで最後のようだ。

 ガレスは少し左足を引き摺りながら、エイナとユリアの許へと向かった。

「無事、オーガを討てたようね」
「ああ、何とかな」

 苦笑と共にそう応え───エイナとユリアにケガがないことを確認してから、ガレスは戦況を確かめるべく視線を回らす。


 今のところ、Bランクパーティーによる押さえ込みは成功しているようだ。

 『黄金の鳥』と『暁の泉』は、前衛であるタンク、剣士や斧使いなどが中心となって押さえ込み、それを弓使いや斥候がフォローして、チャンスがあれば討ち取る───という方法をとっている。

 『リブルの集い』は、リーダーのリブルがメンバーを巧みに動かして、討ち取ることはせず、ただ魔物を翻弄しているようだ。

 『高潔の剣』
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