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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#5
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いている。

 その意味を考える前に、オーガが動いた。ガレスを斬り裂くべく、戦斧を横薙ぎに振るう。

 ガレスは地面を蹴って、後ろへと退避する。斧刃は、ガレスの胸板ぎりぎりのところを通り過ぎた。

 戦斧を振り切った状態のオーガを、ユリアの魔術が襲う。

 オーガは、即座に戦斧を振り返す。

 先程の消える寸前だったものとは違い、旋風の勢力は魔物の膂力を凌駕するものだったが────オーガがその乏しい表情を歪めて、呻き声とも怒号ともとれぬ声を漏らすと、オーガの両腕が膨れて、腕に取り巻くように血管が浮かび上がる。そして、渦巻く風に戦斧を打ち込み───斬り裂いた。

 オーガは解けかかった旋風に再度斬りかかる。

 魔術すら膂力で以て掻き消そうとするオーガを、呆気に取られて見ていたガレスは、3頭のオークが踏み込んできたのを目の端に捉えて、我に返った。

 オークたちは、旋風と格闘するオーガと緊張に身構えたガレスの側を通り抜けていく。

 その行く先は────ユリアだ。

「?!」

 魔物は通常、目先の敵に群がる。習性上、丸腰の人間を無視して、武具を携えた人間を率先して襲うということはありうるが────この状況なら、普通はガレスを襲うはずだ。

(それが、何故────?)

 ガレスが考えあぐねている間にも、3頭のオークはユリアに近づく。

 オークの垂れ下がる小さな耳介を見て、ガレスは思い出した。コボルトの唸り声が聞こえたとき、オークたちはそれに耳を傾けていた。

(もしかして─────コボルトが指示を出しているのか…?)

 どうやって種族を越えて共闘させるのか疑問に思っていたが────オーガとオークがお互いの動きに合わせるのでなく、オーガの邪魔をさせないよう、コボルトがオークを動かしているのではないか?────そんな考えが浮かぶ。

 短杖を構えたままだったユリアは、近づく3頭のオークを足止めするべく魔術を発動しようとしたが、間に合わない。魔術が発動する前に、オークたちがユリアの許へと辿り着く。

「っユリア!」

(考え事などしている場合ではなかった…!)

 3頭ものオークを───しかも至近距離で、ユリア一人で相手取るのは厳しい。

 踵を返そうとしたガレスに、戦斧が襲った。その場を離れようとしていたのが幸いして、戦斧の起こした刃風がガレスの前髪を揺らしただけだった。

 オーガは、ユリアが放った旋風を、本当に戦斧で掻き消してしまったらしい。

「クソっ!」

 ユリアに向かって、まずは真ん中にいる1頭のオークが、両手剣を振り被る。

 ユリアが短杖をベルトに差し込み、片手剣を抜くが────抜き切るより、オークが両手剣を振り下ろす方が速かった。

「ユ
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