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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#5
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目掛けて両手剣を振り下ろした。
ガレスは、何とか手首を返して、それを受け止める。
動きは鈍くても、魔物は魔物だ。人間のそれを上回るその膂力に、ガレスはなるべく踏ん張らないようにしていた左足に思わず力を籠めて───古傷に痛みが走る。
「ぐっ!」
ガレスは声を漏らしつつ、自分を圧し潰しそうなオークの膂力に耐える。
そこへ、ユリアが真横から、片手剣を両手で握り締め、オークの両手首を斬り落とした。
良い体勢で剣を垂直に振り下ろせたことと、まだ刃毀れしておらず剣の切れ味が鈍っていなかったことが幸いして、肉にも骨にも阻まれることなく断ち切る。
ガレスは足の痛みを無視して、持ち手を失った両手剣を振るい落とすと、愛剣を振り被ってオークの脳天に思いきり叩き込んだ。
オークが崩れ落ち、後ろで待ち構えていたオークたちがこちらへ来ようと踏み出すが───ユリアが手首を斬り落としてすぐに魔術を発動していたらしく、一筋の旋風が現れてそれを阻んだ。
ガレスは先程と同じように、旋風が消えるのを待って大剣を浴びせるつもりで待機する。
「…?」
ふと、旋風による轟音やオークの呻き声、周囲の剣戟の音に混じって───何かが聴こえたような気がした。
それは他の音に紛れてしまいそうに低くて微かで、ガレスがその音を辿ろうとしたそのとき────不意に、勢いを失くし消える寸前だった旋風の向こうから斧頭が現れた。
「っ!」
分厚い斧頭が、まるで薪を割るように地面に向かって動いたかと思うと、旋風が掻き消えていた。
辺りを舞っていた砂利が落ち着いて視界が晴れ────旋風を散らした戦斧の持ち主が明らかになる。
それは、オークより頭一つ分ほど抜きん出たオーガで────濁った双眸でガレスを見下ろしていた。
その後ろには、先程ユリアの旋風を食らった3頭のオークが立ち並んでいる。
(やはり、オーガか…!)
眼球だけを動かしてユリアに視線を遣ると、ユリアが短杖を構えているのが目に入った。
そのとき、ガレスの耳が微かな音を捉えた。先程と同じ、他の音に紛れそうな、低くて────微かな唸り声を。
ガレスには、その唸り声に聞き覚えがあった。
(これは────コボルトか…?)
そこでガレスは、一度もコボルトと剣を交えていないことに気づいた。
そういえば────コボルトは参戦していない。
(それなのに、何故、コボルトの唸り声が?)
唸り声が聞こえているのか、いないのか────目の前のオーガには気にする様子はない。
オーガの背後に控えるオーク3頭の方は────じっと耳を傾けるかのように、普段は前に垂れている小ぶりの
耳介
(
じかい
)
が後方に向
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