暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#4
[1/5]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

※※※


 ルガレドからの信号を受け取ったガレスは、大勢の冒険者たちを引き連れて、エイナとユリアと共に先を急いでいた。

 曲がりくねった道の角を過ぎると、遠目に立ち並ぶオークの後ろ姿が見えた。

「急ぐぞ!」

 これくらいの距離なら、走っても支障はない────そう踏んで、ガレスは奔り出す。

 オークに気づかれるまでに、なるべく距離を詰めておきたかった。

 エイナとユリアが並走し、背後に続く冒険者たちも離れずついて来る。

 最後尾にいるオークが、走り寄るガレスたちに気づいて振り向く。

「ユリアっ!」
「はいっ!」

 ユリアがベルトに差した短杖を抜く。その短杖の先端には、魔術陣が刻まれたメダルが嵌め込まれている。

 この杖は、剣も扱うユリアが魔術を行使しやすいようにとリゼラが貸与してくれたもので───杖の先端に仕込まれた“クリップ”という金具にメダルの端を噛ませて、固定してあるのだ。

 ユリアは右手で短杖を掴んだまま、左の掌をメダルに当てる。メダルがユリアの魔力を吸い取って、魔術陣が現れたかと思うと光を放つ。

 居並ぶオークたちより数歩手前の地面に向けて放たれた一筋の旋風が、吹き荒れる。

 ユリアは、立て続けにもう2発、魔術を発動させた。3つの旋風が大量の砂利を巻き上げ、オークとの間にうっすらと幕を張る。

 ガレスの後ろからついて来ていた冒険者たちが飛び出し、事前に指示した通りの配置についていく。

 先陣に立つのは───Bランクパーティー、『黄金の鳥』、『暁の泉』、『高潔の剣』だ。各パーティーの間を広く取って、一列に並ぶ。

 二列目に、残りのBランクパーティー、『リブルの集い』と『栄光の扉』が、一列目の隙間を埋めるように並ぶ。

 『栄光の扉』は、『高潔の剣』と共にベルロ商会の護衛として上京した若手で結成されたパーティーで───つい最近Bランクに昇格したばかりではあるが、メンバーが若い分だけ血気盛んで勢いがある。

 三列目からは、Cランクパーティーが今度は二列目の隙間を塞ぐように並ぶ。そうやって前列と互い違いに並んでいく。

 これは、ルガレドの補佐についているBランカー冒険者ディドルによって提案された陣形だ。

 わざと隙間を開けて、一列目が相手し切れない敵を進ませ、二列目で相手をする。そうして、二列目のパーティーが相手し切れない敵を三列目で相手するという────魔物の群れを殲滅する際に用いられる傭兵の戦法だそうだ。

 ルガレドの計画通り、戦いの場となるここは、枝道と交差する川の上に設けられた橋を渡り切った───道が狭まり始めた個所なので、一度に向かって来る魔物の数は限りがある。

 列が進むにつれ、相手取る魔物の数も絞られるはずだ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ