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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第二十七章―双剣―#3
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きないとは思うけど───ラナ、私が外に出たら、【聖域】を発動させなさい」
「解りました」

 ラナの固有能力───【聖域】は、リゼラが施す固定魔法【結界】と同様の能力で、物理、魔術問わず───どんな攻撃をも防ぎ、“禍”すら通さないとのことだ。ただ───相応に魔力を必要とし、展開できる範囲もそれほど広くないらしい。

 頷くラナから、エデルへと視線を移す。エデルに後を任せようとカデアが口を開くより先に、エデルが言葉を発する。

「私も参ります」

 うっすらと笑みを浮かべてそう言うエデルに、カデアは僅かに眼を見開いた。

 エデルは武具を持つようになって、まだ1週間と経っていない。

 確かに、俳優をしているせいなのか、すぐに立ち回りが可能なほど身体が出来ているし、間合いの取り方なども身についている。
 武具の扱いさえ覚えれば、即戦力となることは間違いない。

 だが────今回の相手は手練れの暗殺者だ。初の実戦の相手には、相応しくない。

「大丈夫です、足を引っ張るような真似はしません。私は、これでも────戦えなくとも、幾度となく危機を潜り抜けてきた経験があります」

 カデアの心中を察したのだろう。エデルが言葉を継ぐ。

「貴女の実戦での動きを間近で見られるいい機会ですし────何より、リゼさんの傍にいるために、私が戦えることを示さねば。自分の身を護る術を身につけること────それが、殿下に出された条件ですから」

 リゼラの傍にいたいというエデルの願いを初めて知ったラナが、驚きに眼を瞠る。

 カデアは、エデルの事情についてラムルからすべて聴かされていた。

 まだ数日の付き合いでしかないが、エデルが出来もしないことを押し通すようなことをするとは思えない。

 それに、これ以上、迷っている時間はなかった。

「いいでしょう。だけど────今度こそ、危なくなったら【往還】で離脱すること。いいわね?」
「解りました」


◇◇◇


 両開きの玄関扉を人一人通れるだけ開けて、エデルがするりと通り抜ける。カデアは気配を消して、続いて通り抜けると、扉を静かに閉じた。

 カデアの前に立つエデルが、招かれざる訪問者たちに向かって問いかける。

「このような時刻に────当邸に、どういった御用でしょうか?」

 暗殺者に囲まれているという状況にも関わらず、エデルに動じている様子は微塵もない。だからといって、殺気や敵意も感じられない。

 醸す気配は荒事になど関わったことのない素人のそれなのに────この事態にあって、愛想よく笑みを浮かべるエデルは、ともすれば不気味に思えた。

 訪問者たちは、邸の前に、半円形を成して並んでいる。その数────20人ほど。

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