暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第二十七章―双剣―#2
[1/9]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

 視界はまだ光に覆われていたが、今いる場所がもうお邸のエントランスホールではないことは感じ取れた。ネロとヴァイスが傍にいることも判る。

「ネロ!」
「まかせて!」

 名を呼ぶと、ネロから元気よく言葉が返って来る。

 (くう)に溶けるように消えていきつつある【往還】の光に混じって、私の【使い魔(アガシオン)】である証────ネロの額に輝く魔水晶(マナ・クォーツ)が蒼い光を発するのが見えた。

 魔水晶(マナ・クォーツ)に書き込まれたネロ専用に編み上げた魔術【索敵】が発動する。

「ノルン!」

───はい、(マスター)リゼラ!使い魔(アガシオン)ネロの【索敵】の結果を、(マスター)ルガレド、配下(アンダラー)ディンド、配下(アンダラー)セレナに共有します───

 ネロの隠されたものまで看破できる認識能力を利用した【索敵】は、レド様の【千里眼】を利用した【索敵】と同様の情報が得られる。

 さらに、レド様と私は、限定能力【把握(グラスプ)】を発動させた。これで───魔獣たちだけでなく、レド様や仲間たちの動きも常に意識しながら動くことができる。


 【往還】の光が完全に消え失せ、視界がクリアになった。

 未だ折り重なるようにして倒れているオークやコボルトの向こう側に皇都の城壁が横切っている。

 私たちの背後には、魔獣ですら飛び降りることが難しい高さの切り立った崖が走っており───崖から城壁までの距離はおよそ600m程で、足元には防草のために細かい砂利が敷かれていて、人為的に整えられたものだと覗える。

 皇都の城壁に沿った一本道に見えるけど、実は、緩く曲がっている枝道が、東門を出て左手に伸びている城壁に沿った街道と、この区間のみ並行しているだけなのだ。

 この枝道を、城壁沿いの街道ではなく、ダウブリム方面の街道から分岐させているのは、城壁沿いの街道の先にも農村があるので、入荷時の混雑を避けるためだろう。

 もう少し進めば、件の川と交差して、マセムの村に向かって曲がりくねって街道から逸れていき、道幅は狭くなる。といっても、馬車が並べるくらいの広さではあるが。

「作戦通りにいく!───リゼ!セレナ!」

 状況を把握したレド様が、簡潔に命じる。

「はい、レド様!」
「はい…!」

 私はレド様に応え────

「【氷刃】!」

 この戦いのために急遽、編み上げたオリジナル魔術───【氷刃】を発動させる。

 無数の魔術式が私たちの眼前に展開し、魔術式から氷刃が次々に飛び出していく。ようやく立ち上がった魔物たちに、容赦なく降り注ぐ。そう────まるで、セレナさんの“氷姫”のごとく。


 この魔術は、わざと“氷姫”の魔術と似
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ