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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第二十七章―双剣―#2
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に入り込もうとするオークをこれまで通りに屠りながら、少しずつ後退する。

 私は手にした薙刀を振るいつつ、並行して、下がるにあたって邪魔になりそうな魔物の死体を薙刀や【転移(テレポーテーション)】を使って退()かしていった。

 全員がちょうどいい地点まで辿り着いたことを確認して、止まるよう指示を出そうとしたとき────不意に、魔物の雄叫びが響き渡った。

 それは辺りに幾重にも響いて───どうやら、幾つもの雄叫びが鳴り響いているようだった。

 異変を感じ取った仲間たちは、今対峙しているオークをそれぞれ斬り伏せる。

 隙あらば囲い込もうとしていた───あるいはこちらへと近寄ろうとしていたオークたちが、瞬く間に後退していく。

 確認してみれば、オークはいつの間にか134頭まで減っていた。

「変異種のお出ましのようだな」

 ヴァルトさんの言う通り、居並ぶオークを押しのけ、微かな地響きを上げて歩み寄って来るのは────オークの変異種、5頭だ。どれも巨体化しているが、3m程度で、4m級はいない。

 5頭すべてが、身の丈に合った棍棒を手にしている。それは、丸太を削って作り上げたものらしく────稚拙な出来映えではあるが、渾身の力で繰り出されたら、普通の人間ならば一溜まりもないだろう。

 二足歩行の魔物が木や石を利用して原始的な武具を作ることは、斧や剣を手に入れた集団───もしくは石器に使えそうな岩石や鉱物が手に入る地帯に生息する集団では偶に見られる事例だ。

 私は、変異種の詳細を探るために、【心眼(インサイト・アイズ)】を発動させる。

「…?」

 内包する魔力量は通常の魔物よりは多いが、やはり魔獣に比べたら大したことはない。5頭とも似たり寄ったりで、強さもそれほどではなく、私たちなら手分けしても討伐できるだろう。

 だけど、何だか────どこか違和感があった。その違和感に思考が傾きかけたものの、レド様からの【念話(テレパス)】で引き戻される。

≪俺、リゼ、レナス、ディンド、ヴァルトで1頭ずつ相手をする。ラムルは俺、ジグはリゼとレナス、アーシャはディンド、ハルドはヴァルトの援護を。セレナは周囲の警戒と牽制をしてくれ≫

 私たちはレド様に了承した旨を伝えると、すぐに立ち位置を変えるべく移動を開始する。

 レド様を中心に、その左側に私、レナスの順で並び───右側に、ディンド卿、ヴァルトさんの順で並ぶ。援護を担うラムルたちは、それぞれ援護する者の傍らへと立つ。

 自分が対峙する変異種を見据えるべく目線を遣って、私はまた違和感を覚えた。並んで立つ5頭の変異種たちの視線が、それぞれの正面に立つ者ではなく────中心に向けられている。

 中心というか────レド様と
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