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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第二十七章―双剣―#2
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ちが行使できる魔術の総数を、できるだけ最小限に錯覚させるのが狙いだ。

 そのため、今日の戦いでは───私は、なるべく攻性魔術はこの【氷刃】と【疾風刃(ゲイル・ブレイド)】のみ使用するつもりでいる。

 【疾風刃(ゲイル・ブレイド)】は、数ある使用可能魔術の中でも、発動時間が短くかつ攻撃力もあって、火系統などの魔術に比べて、使う場所を選ばず使い勝手がいい上に───風の刃で斬り裂くので、剣で斬られたようにも見える。

 もし、魔術を発動するところを目撃されたとしても、攻撃範囲が狭いから、そこまで脅威的な印象は持たれないだろう。


 私が放った氷刃は、コボルトや当たり所が悪かったオークの命を奪ったが───範囲内にいたオークのほとんどには、ケガをさせただけに留まった。

 痛みに呻くオークや運よく免れたコボルトが再度こちらに向かって走り出そうとしたところに、今度はセレナさんの放った氷刃が降り注いだ。

 私とセレナさんの魔術で魔物たちを足止めしている間に、私たちは陣形を整える。

 崖を背にして、【転移門(ゲート)】の左隣に、魔術で攻撃あるいは援護をするセレナさんと、【索敵】を発動し続けるネロが並ぶ。セレナさんとネロ、【転移門(ゲート)】に関しては、ヴァイスが護衛してくれることになっている。

 そして、セレナさんたちから間を開けた正面に、半円形を描くように私たちが陣取る。

 中心にレド様が立ち、レド様の左側にジグ───右側にラムルが立つ。
 それから、ジグの左側に私、その左側にアーシャ、さらにアーシャの左側にレナスが立つ。
 そして、ラムルの右側にディンド卿、その右側にハルドが、さらにハルドの右側にヴァルトさんが立つ。
 皆、それぞれ立ち回るに十分な距離を開けている。

 レド様が、大剣を取り寄せて構えた。私も(なら)って、【夜天七星】の薙刀を取り寄せて構える。レナスは、新たに創り直した【月虹】を取り寄せて、左手に携える。ジグ、ディンド卿、ヴァルトさん、アーシャ、ハルドも各々、自分の得物を構えた。

 私たちが構える武具につられるように───氷刃で傷だらけになりながらも立ち上がったオークやコボルトが、突進してくる。

 左方向の離れた所に、図抜けた巨体のオーガのシルエットが目に入るが───向かって来るのはオークやその近くにいるコボルトばかりで、やはり、そのシルエットが近づいて来る様子はない。

「【疾風刃(ゲイル・ブレイド)】!」

 こちらに迫り来るオークが間合いに入る前に、まずは魔術で出迎える。私が繰り出した最大規模の風刃によって首元を斬り裂かれたオークが5頭ほど倒れた。

 ジグも同様に大規模な【疾風刃(ゲイル・ブレイド)】を発動したらしく、レド様の正面にいる数頭のオー
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