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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十七章―双剣―#1
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る。

「閣下───門外で待機する“デノンの騎士”以外の討伐参加者がすべて、ここに揃っております」
「そうか。ご苦労」

 ダズロ=アン・イルノラドは、そう報告を上げた壮年の騎士───アダン子爵に頷いた。

 アダン子爵は、ダズロが率いる虧月(きげつ)騎士団に所属する上級騎士だ。実力も忠誠心も申し分なく、ダズロも信頼を置いている。


 ダズロは、満月に近い二つの月と所々に設けられた松明に照らされた街路に整然と立ち並ぶ面々を、改めて見回す。

 今回、協力を申し出た貴族家は────反皇妃派筆頭の一つであるアルゲイド侯爵家、反皇妃派中堅であるバルデイン伯爵家とドレアド伯爵家、中立派であるゲルリオル伯爵家とグレミアム伯爵家の────計5家だ。

 それぞれ、私兵を20〜50名ほど、引き連れている。

 アルゲイド侯爵家、ドレアド伯爵家は子息が、ゲルリオル伯爵家は当主の甥が、バルデイン伯爵家とグレミアム伯爵家は当主自らが率いる。

 ダズロも、自家の私兵32名と───アダン子爵含む配下の上級騎士5名、それから側近であるセロム=アン・ノラディスを連れての参戦だ。

 そして────偃月(えんげつ)騎士団団長ウォレム=アン・ガラマゼラ。彼も、私兵20名と配下の上級騎士2名を引き連れて参戦する。

 ダズロは、私情を押し殺して────ウォレムの剣士としての実力と騎士団長としての能力、配下の騎士の実力だけを認識するよう心掛ける。

 ダズロは、ルガレドによって、“デノンの騎士”と貴族家の私兵からなる連合軍の指揮を任されているのだ。

 今は────怒りや憎しみといった感情のまま行動するわけにはいかない。


(それにしても────ルガレド殿下は、よく俺に指揮を任せてくれたものだ)

 ファルロの言っていた通り───皇宮で行われた緊急会議で見せたあの怒りの深さからも、ルガレドがリゼラを本当に大事にしてくれているのは確かだ。

 騎士団の状況に関する問答では平静を装っていたが、会議が始まる前、リゼラの様子を窺っていたダズロを見るルガレドの眼差しは冷ややかで厳しいものだった。

 ルガレドがリゼラを虐げたダズロを良く思っていないのは明白で────それは自業自得で当然のことだとダズロは受け止めていた。

 だからこそ────まさか、指揮を任されるとは思っていなかった。

 感情に流されることなく、冷静に物事を推し進める────それは、簡単なようでいて難しい。今まさに自分がその状況に───感情を抑えて行動しなければならない状況にいるからこそ、余計にそう思う。

 ましてや、ルガレドはまだ若年で経験も浅い上、この規模の指揮を任されるのは初めてなのだ。

 二度の緊急会議での言動を見る限り、ルガレ
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