こぼれ話Eガールズトーク?
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くすんだ色合いで───形はシンプルなものを好むので、“お兄ちゃん”が愛用していたマグカップを参考に創ってみたのだ。
「そうなの───ありがとう」
まだ何も入っていないマグカップを両手で持ち上げて、ラナ姉さんは目元を和らげて満面の笑みを浮かべる。
甘ったるいものが苦手なラナ姉さんのために、お茶請けは、“スコットランド”発祥の焼き菓子───バターの風味を利かせた“ショートブレッド”にした。
共にいただくお茶は、勿論、紅茶である。
「美味しいわね、これ。何個でもいける」
そう言って、ラナ姉さんはショートブレッドを次々に頬張る。
今回作ったショートブレッドの形は、本場のフライパンで作って円形を等分にした三角形のものではなく、一口サイズの長方形なので、余計に食べられるのだろう。
「それは良かった」
ラナ姉さんが大丈夫ってことは、意外と甘いものが苦手なヴィドも食べられそうだ。孤児院の子供たちにも、作って持って行ってあげよう。
ちなみに、こちらも意外なことに────ラギは大の甘党だ。
「そういえば────お邸での暮らしはどう?困っていることとかない?」
ふと気になって訊ねると、ラナ姉さんはショートブレッドを頬張ったまま、首を横に振った。そして、呑み込んでから、口を開く。
「快適!リゼが創ってくれた個室は落ち着くし、それにカデアさんの料理はとても美味しいし────本当に快適よ」
無理して言っているわけではないようなので、私は秘かに安心する。
「侍女の仕事はどう?」
「楽しいよ。カデアさんも、セレナさんも、いい人だしね」
「良かった」
元貴族令嬢のセレナさんは、感覚や概念が少し違うこともあるだろうし、人と接することに慣れていないようなので───ラナ姉さんとアーシャと上手く馴染めるか、ちょっと心配だったのだ。
ほっとする私をよそに、ラナ姉さんは続ける。
「ただ───セレナさんとアーシャと三人で仕事することが多いでしょ。三人って難しいのよね」
続けられたラナ姉さんの言葉に、私はドキリとしてしまった。
やっぱりセレナさんと上手くいっていないのかな───と、不安になる。
「セレナさんって、お嬢様だし無口だから、最初、何話していいか判んなくてさ。特に、アーシャと三人で話すとき、ちょっと戸惑ったのよね。でも、共通の話題見つけて、それからは三人でよくしゃべるようになったんだけど」
「…けど?」
少し緊張しながらも、先を促す。
「ほら、アーシャは“脳筋”でしょ。だから、同じリゼの話でも───冒険者としてのリゼの話にしか興味を示さないのよ」
「はい?」
「だけど───わたしは、魔獣を退治しただの、魔物の集落を潰しただ
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