こぼれ話Dお嬢様、お茶をどうぞ
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「おはようございます、殿下、リゼラさん」
下級兵士用の調練場での鍛練、朝食、仲間たちとの鍛練───それらの日課を終えて、レド様と二人で、皆より一足先にエントランスホールへ跳ぶと、いつもの侍女服ではなく、ワンピース姿のセレナさんと出くわした。
「おはよう、セレナ」
「おはようございます、セレナさん」
セレナさんは、今日は侍女の仕事はお休みだ。
全員に、週に一度の休息日を設けているので───カデア、アーシャ、ラナ姉さん、セレナさんの4人は、重ならないように交代で休息をとるようにしている。今日は、セレナさんの番というわけだ。
「あの…、殿下───本日、図書室を利用してもよろしいでしょうか…?」
「ああ、勿論だ。好きに利用するといい。何なら、部屋に持ち帰って読んでもいいし、サンルームに持ち込んでも構わない」
「ありがとうございます…!」
セレナさんは、嬉しそうに破顔して、弾んだ声音でお礼を述べる。
レド様は、休息日に仲間たちが───拠点スペースに収めてある、レド様のお邸に設けられた図書室やサンルームで過ごすことを許可していた。
読書好きのセレナさんが図書室を利用するのは、これで2回目となる。
ふむ、セレナさんは───今日も、レド様のお邸で過ごすのか。
私は、セレナさんの今日の格好を見る。控えめにフリルを重ね、ローウェストで切り替えるタイプの───ふんわりとした白いワンピースだ。
清楚な印象を与える上、大変可愛らしく───セレナさんに、とても似合っている。さすが、元伯爵令嬢。お嬢様と呼ばれるに相応しい。
これは────いいタイミングだ。
懐中時計で時間を確かめる。出かけるにはまだ早い。
「レド様、申し訳ありませんが────30分だけお時間をいただいてもよろしいですか?」
「それは構わないが…」
突然の私の申し出に、レド様はちょっと目を見開いて歯切れ悪く応えた。
「ありがとうございます、レド様」
私は許可をくれたレド様に笑みで返すと────今度は、セレナさんに顔を向ける。
「セレナさん、少し付き合ってくれませんか?」
◇◇◇
サンルームの一角にある───小さな円いカフェテーブル。セレナさんをそこに座らせると、私は、まず着ているものを【換装】で侍女服に替える。
それから、【遠隔管理】でアイテムボックスから、今朝レド様が手伝いに来てくださる前に作った“スコーン”をお皿ごと取り寄せ、セレナさんの前に置く。
続けて、程よく温かい紅茶が入ったポットと、ポットとお揃いのカップアンドソーサーも取り寄せる。
私は、ポットから紅茶を注ぐと───お
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