こぼれ話Dお嬢様、お茶をどうぞ
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ますね。もう戻らないと…」
レド様にお待ちいただいている。
「セレナさんは慌てる必要ないですよ。ゆっくりお茶してください。ポットもカップもこのまま置いておいてくだされば、いいですからね。それでは───私はこれで」
私は空いたお皿だけを厨房へと転移させて、セレナさんに告げる。
「あ────あの、リゼラさん…!」
背を向けようとした私を、セレナさんが躊躇いがちに呼び止めた。
「ど、どうもごちそうさまでした…!」
セレナさんは立ち上がって、ぺこりとお辞儀をする。
「そ、それで───それでですね…、あの…、つ、次は───侍女なんかじゃなくて…、その、一緒に…」
頭を上げたセレナさんが顔を真っ赤にして、一生懸命に言葉を紡ぐ。その内容に嬉しくなって、私は口元を緩めた。
「ええ。次は、一緒にお茶をしましょう。そのときまでお菓子をたくさん作っておきますので、楽しみにしていてください」
「はい…!」
◇◇◇
セレナさんとお茶するときに出すお菓子は何を作ろうかな────などと考え込みながら、新しいお邸へと跳ぶ。
小さめのケーキを幾つも作って───あのお皿が三段になっているの、確か…、“ケーキスタンド”って言ったっけ────あれに並べてもいいな。
「お待たせしました、レド様」
「ああ、リゼ───っ?!」
「レド様?」
何故か、私を見たレド様とレナスが、眼を見開いて固まってしまったので────私は首を傾げる。
私の護衛をしてくれていたジグが後ろから姿を現し、私に告げる。
「リゼラ様───侍女服のままです」
「え?───あっ!」
服を替えるのを忘れてた…!
「待て────リゼ。そんな格好で、一体何をしていた…?」
慌てて【換装】を発動させようとした私を、我に返ったらしいレド様が止める。
「いえ、その…、セレナさんに今朝作ったお菓子をですね───食べてもらおうと、ちょっと給仕を…」
「何故、主であるリゼが侍女のセレナに給仕をする必要がある?」
「う、その…、今日作ったお菓子がですね、お嬢様のようなセレナさんに似合うというか────ただ出すだけでは勿体なかったというか…」
「へえ、そうか…。それで?それは────俺の分もあるんだよな?」
「も、勿論、あります」
「俺も────リゼに給仕をしてもらえるんだよな…?」
「………はい、させていただきます…」
レド様の重圧に私は頷くしかなかった。
その後───何故か、休息日には私がお茶の給仕をしてくれるという噂が、仲間たちの間に流れて────セレナさんに給仕した事実があるだけに、他の仲間たちにはやらないわけにいかず、レド様に渋られなが
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