こぼれ話Cそれは───こうして始まった
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めた───ハーフアップだ。
リゼラは、慣れた様子でノルンの艶やかな銀髪を編み、ワンピースと共布で作られたリボンを取り寄せて───まとめた三つ編みに器用に結んだ。
「時間が空いたら、ノルンにも髪飾りを作ってあげるね。どんなのがいい?」
「主リゼラとお揃いのものがいいです」
「解った。じゃあ、まずは私とお揃いのバレッタを作るね」
「はい!」
リゼラの言葉が凄く嬉しくて────ノルンは、満面の笑みを浮かべて頷いた。
◇◇◇
ルガレドとリゼラは、現在、拠点スペースに収めてあるルガレドの邸で寝起きしている。
新しいお邸は、主寝室が夫婦の部屋になっており───その両脇に夫、妻、それぞれ専用の小さな部屋が設けられていた。
ルガレドとリゼラは、婚約の段階であるため、そちらを使わず、ルガレドの邸で生活しているのだ。
リゼラは、まだ新しいお邸へは跳ばず、お弁当を作るために厨房へと赴いた。勿論、ノルンもそのまま、リゼラについて行った。
「今日は、何にしようかな」
考え込んでいるリゼラの横顔を、ノルンは楽しい気分で眺める。
以前、もう一人の主であるルガレドが、リゼラが一心に考える顔は綺麗だと言っていたが────ノルンもそう思う。
「おはよう、リゼ」
そこへ、当のルガレドがやって来た。朝が苦手なルガレドは、大抵、リゼラより少し遅れてくる。今日は、早い方だ。
「おはようございます、レド様」
微笑んで挨拶をしたリゼラに、ルガレドは相好を崩す。
ノルンと同じく────リゼラが自分を見て、自分に微笑んで、自分に言葉をかけてくれることが嬉しいのだろう。
リゼラとルガレドの配下であるカデアが、こういうのを“デレデレしている”というのだと教えてくれた。その言葉は、ルガレドだけを表し、ノルンの場合は当てはまらないのだそうだ。
二人を観察していると、ルガレドがノルンの存在にやっと気づいた。
「ノルン────もしかして、昨日もリゼと一緒に寝たのか?」
「はい、主ルガレド。私は、昨日も主リゼラのベッドで───主リゼラと一緒に眠りました」
「ノルン、新しい邸にお前の部屋も設けただろう?ちゃんと、そっちで寝ろ」
「いやです!私は、主リゼラと一緒に眠りたいんです!」
最近───ルガレドは、ノルンがリゼラと一緒に眠ることに難色を示すようになった。ノルンは、そろそろルガレドを敵認定してもいいのではないかと考えている。
「レド様、ノルンはまだ幼いですし、誰かが一緒に寝てあげないと」
「だったら、カデアのところへ行け」
「主リゼラがいいんです!」
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