こぼれ話Bリゼラの魔獣討伐講座
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「あの魔獣───ルガレド様が弓矢で射殺したやつにそっくりですね」
視線の先にいる魔獣を見ながら、ジグが呟いた。少し離れたところで観察しているため、魔獣は私たちの存在に気づいてはいない。
今日は、ジグとレナスを連れて、魔物・魔獣討伐の訓練に来ている。レド様はラムルを伴って、ロウェルダ公爵邸だ。
確かに、レド様が弓を使って討伐した魔獣にそっくりだ。
巨大化したオークで、4m近い体長と、オークにしては俊敏な動き。内包する魔力量も大体同じくらいで、魔力で皮膚を強化しているのも同じ。
それに、発達した牙のせいで口を閉じられずに、涎に塗れた舌が開いた口の端から垂れ下がっているところまで、同じだ。
「あのときのレド様は────凄かったですけれど…、非常識でしたよね」
魔力で皮膚を強化しているから、眼を狙って、眼から脳を貫くようアドバイスはしたが────まさか、一本の矢だけで倒してしまうとは思わなかった。
「…リゼラ様も、同じことをできそうですが」
「まさか。それは、無理ですよ。皮膚よりは柔らかいとはいえ、それなりに硬いですから、私では一本だけで貫くことは無理です」
まあ、【身体強化】を使って、レド様に弓矢を借りれば、同じことをできるかもしれないけど────現状では無理だ。
レナスの言葉に、私はすぐに否定をする。この二人も私を買い被っている節があるので、ちゃんと否定しておかなければ。
「『一本だけでは無理』ということは、何本か使えば、リゼラ様も矢だけで倒せるということですか?」
「何本も使うなら、それは倒せますよ」
「「…………」」
何故か、ジグもレナスも無言になった。あれ、もしかして疑ってる?
「それなら────ちょっと、やってみせましょうか」
私は、【遠隔管理】で弓を取り寄せた。弓を構えると、すかさず矢が現れる。
魔獣の眼を狙って、矢羽根と弦を放った。間を置かずに、もう一射放つ。そして、続けざま───もう二射放った。
まず二本の矢が並んで、魔獣の眼に吸い込まれるように突き刺さったが───矢の半分ほどまで埋まって、そこで止まる。
後で放った二射が飛来し、止まってしまった二本の矢の矢筈を正確に叩いた。
魔獣の眼に突き刺さっている二本の矢が、後から届いた矢に押されて、深く押し込まれる。脳を射られた魔獣は、その場に崩れ落ちた。
「ほらね?一本では無理だったでしょう?」
「いや、『ほらね』じゃないですよ」
「何ですか、今の。下手したら、ルガレド様より酷いですよ」
ええっ、何処が?
「ところで────リゼラ様」
「何ですか、レナス」
「ずっと疑問に
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