こぼれ話@トンカツリベンジ
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すので」
「「は?」」
レド様とレナスの声がハモる。
「ですから────レナスの方はルガレド様が手伝ったトンカツですが、自分のはリゼラ様が作ってくださったトンカツですので」
「あっ、てめぇ、それでさっき…!」
ああ、それで、そっちのトンカツの方が良かったんだ。
でも、別にレド様が手伝ってくれたからといって、変わりはないと思うけど。レド様は作り慣れていないから、不安だったのかな。
それにしても────
「すごいですね、ジグ。上からずっと見ていたとはいえ、よく見分けられましたね」
私たちの護衛のために、ずっと見ていたからって────すごいと思う。
「ええ、まあ。そちらはリゼラ様が作ったもので、こちらはルガレド様が手伝ったものです」
ジグは満更でもなさそうに───私とレド様のトンカツに関しても、教えてくれた。
レド様の席に置いた方が、レド様が手伝ってくれたトンカツで───私の席に置いた方は、私が自分一人で作ったトンカツらしい。
「それでは、有難くいただいていきます、リゼラ様」
ジグはそう言い置いて、さっさと厨房を出て行った。
「あ、待て!ジグ、この野郎…!────リゼラ様、いただきます!」
レナスもそう叫びながら、ジグの後を追って出て行く。
「ふふ…」
仲が良さそうな二人に、思わず笑みが漏れて────私は、はっとする。
あ、でも、ジグもレナスももういないし、大丈夫だよね…?
恐る恐るレド様を伺うと────レド様は、眉を寄せて、何だか難しい顔をしている。
「あの…、レド様…」
「リゼ────もしかして…、あの二人の前では笑わないようにしているのか…?」
言いかけた私を遮って、レド様が訊く。どう答えればいいのか解らないでいると────レド様の表情が曇った。
「すまない、リゼ。俺のせいだよな…。俺が────サンルームで、あんなことを言ったから…」
「!」
口を開こうとした私を、レド様が制した。
「リゼ────そんなことはしなくていい。ジグとレナスの前でも───他の誰かの前でも…、笑いたくなったら笑ってもいいんだ」
「でも…」
「大丈夫だ。もう不安になったりしない。それに、それよりも────俺のせいで、リゼが我慢することの方が嫌だ。だから────笑うのを我慢したりしないでくれ」
「でも…、本当に────大丈夫ですか…?」
「ああ、本当に大丈夫だ。リゼが一番大事なのは…、ジグでもレナスでもなく、他の誰でもなく────俺なんだろう?だったら───リゼが誰に笑いかけようと、大丈夫だ」
レド様は、私の頬にその大きな手を添えて、朗らかに笑った。
その笑顔に嬉しくなって──
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