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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十六章―黎明の皇子―#10
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るのか…、解った上での発言ですか?」

 エデル以外の仲間たちには、レド様と私の事情は打ち明けてあるから、それを理解した上での申し出であることは判ってはいたが────それでも、問いかけずにいられなかった。

「はい」

 ディンド卿は顔を上げて、その決意を湛えた眼を再び私へと向ける。

「俺は────伯父上の期待に応えることも、バルドアに恩を返すこともできませんでした。ですが────ルガレド様は、それでも、こんな俺の力を必要としてくださっている。俺は、それに応えたい。今度こそ────成し遂げたい…。力不足や寿命のために────道半ばで断念したくないのです」

 ディンド卿はそこで言葉を切り、その固い決意を表すように口元を引き結んだ後────再び口を開く。

「それに、リゼラ様────俺は、貴女にお仕えしたいのです。ルガレド様の伴侶だからではなく────貴女だからお仕えしたい。地下遺跡の存在を予測して探し当てたその考察力────そして、先程の緊急会議での貴女の見解は本当にお見事でした。それだけじゃない────初めて会ったあの集落潰しや、地下遺跡でのルガレド様不在時の立ち振る舞いも────主と仰ぐに相応しいと思えるものでした」

 ディンド卿がそこまで私を認めてくれていたことを驚くと同時に────レド様が信頼するディンド卿に認めてもらえたという事実に、喜びが込み上げる。

「どうか…、貴女にお仕えすることを────最期まで、ルガレド様と貴女と共にすることをお許しいただきたい。そのために────どうか、俺に貴女のご加護を授けていただきたいのです」

 ディンド卿のその気持ちは嬉しいけれど─────

「エルに────このことは?」

 まあ、エルならば反対することはない気がする。あ───でも、定期的に会いに行くとか、何か条件はつけそうだな。

「先程、【念話(テレパス)】でですが、話しました。エルは────『好きにすればいい。お父様の自由だ』と。ただ、定期的に会いに行くことを約束させられましたが」

 愛娘を思い出しているのだろう────ディンド卿の表情が緩む。


 私はディンド卿の後ろで跪くヴァルトさんとセレナさんに視線を移して、二人を見据える。

「ヴァルトさん、セレナさん────あなたたちは、本当に私の加護を受けることの意味を理解した上で、それを望んでいるのですか?」

 二人が私の加護を授かりたいと言い出したのは────おそらくディンド卿に誘われたからだ。

 ディンド卿が、ヴァルトさんとセレナさんに加護を受けることを勧めた理由は、何となくだが解る。

 先程のレド様の決意表明を受けて、レド様の念願を叶えるためにも、仲間たちの戦力を強化して、有用な能力を得ておきたいと考えたのだろ
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