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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十六章―黎明の皇子―#9
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。前世の記憶を持っていることも考えられる。だが、奴らは食糧であるゴブリンをすでに食い尽くしている。今夜は警戒して出てこないとしても────常に周囲を巡回させ続けて、食糧調達の機会を与えなければ、一両日中には必ず行動に移すだろう。今夜が駄目なら────明日、また同じことをするだけだ」
農村側から攻め込む部隊が冒険者なのは、明日まで延びる可能性があるからという理由もある。延期となった場合、待機場所で野営する予定となっているからだ。
今回討伐に協力してくれる貴族の中には、当主自ら指揮を執る者もいる。騎士であるイルノラド公爵やガラマゼラ伯爵はともかく、慣れない野営させて体調を崩されたら支障が出る。
「集落を監視していた冒険者たちは、全員引き揚げさせたため───今、集落の監視を行っているのは精霊獣だ。奇襲予定地点は、ネロとヴァイスに監視してもらっている。魔獣たちが動けば、直接リゼに連絡が来る。早ければ数時間後────遅くとも明日の夜半、討伐に赴く。そのように心得ておいてくれ」
レド様がラナ姉さんに目を向ける。
「ラナ、無理をさせて悪いが────急ぎ、皆が俺の配下だと一目で判るような揃いの服を作ってくれないか」
「かしこまりました」
応えるラナ姉さんの緊張に強張っていた表情が、職人のそれへと変わる。どんなデザインにするか────もう考えを回らせ始めているのだろう。
「それでは、話はここまでにして────準備に取り掛かる前に、まずは夕食を済ませることにしよう」
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