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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十六章―黎明の皇子―#9
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与えられ───平定を命じられた。責任を持って平定しなければならない」

 レド様は、集落の様相、そこに住む魔獣や魔物の詳細───そして、私の魔獣たちに関する推察を一通り語る。

「今回、騎士団は当てにすることが出来ない。皇王陛下に“デノンの騎士”6個小隊を借り受け、幾つかの貴族家から協力は得られたが───それでも、人数としては350に届かない。冒険者も、近隣の街から多少の応援を得られたものの───討伐に参加するのは、5つのBランクパーティー、ソロのBランカー4人、後はCランク以下のパーティーおよびチームで───人数としても、100を超える程度だ。正直…、群れの規模を考えると、戦力が足りない。もっと時間に余裕があるなら補充の仕様もあるが、そんな猶予はない。よって────この手勢だけで臨むことになる」

 あのビゲラブナが自分の責務を理解して、一つでも騎士団を待機させていてくれたら────そんな思いが一瞬過るが、もう言っても詮無いことだ。

 彎月騎士団の下級騎士、上級兵士、下級兵士は皇城に滞在してはいるが、まとめ上げ指揮する者がこぞって不在のため、彼らがいると返って戦場が混乱すると考え────今回は、参戦してもらうことは断念するしかなかった。ここまで急ぎでなければ、イルノラド公爵かガラマゼラ伯爵に指揮系統を調えさせて任せることもできたかもしれない。

 まあ────それだけでなく、正直なところ、実戦で使い物になるのかという不安もあった。

「作戦としては───魔獣たちが集落を出て、その枝道に入り込んだところを強襲するつもりだ。枝道はダウブリム方面の街道のようには開けていないため、魔物たちは列を成して進むしかない。そこで、味方を三部隊に分けて───まず中心部を奇襲する。魔獣たちを出来る限り引き付けてある程度数を減らした後、列の前方と後方から同時に攻める。前方は冒険者に、後方は“デノンの騎士”と貴族の私兵に任せることになっている」

 騎士・貴族の私兵と冒険者とで分けると、数に偏りができてしまうが───何せ、戦い方や考え方の違いを摺り寄せる時間がない。無理に数を揃えることによって、現場が混乱して力を発揮できないなんて事態になっては困る。

「そして…、中心部の奇襲は────俺たちが担当する」

 レド様は、仲間たちを改めて見遣った。

「中心部の奇襲────この役割は作戦上とても重要だ。戦力不足を補うためにも、ここで出来る限り敵の数を減らさなければならない。勿論、危険を伴う。だからこそ、力を有する俺たちがやらなければならない」

 仲間たちは神妙な面持ちで、レド様の言葉を静聴している。

「それともう一つ、この奇襲を俺たちが担当しなければならない理由がある。それは、この枝道に奇襲部隊が潜むことができる個所がないという
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