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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十六章―黎明の皇子―#9
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であるレド様がそんな強大な力を保有していると知られたら、ジェスレム皇子を皇王にしたい皇妃一派が黙っているはずがない。

 その力で皇妃一派を掃討してしまえればいいが────こればかりは、そんな単純にはいかない。

「今の俺たちなら、追っ手をかけられても、撃退することも逃げ遂せることもできるが───それは、国を捨てることに他ならない。リゼの大事な者たちを残していかなければならないし────何より…、本当にそれしか手段がないならともかく、皇子として────こんな状態の国を捨てることはしてはならないと思っている」

 カップをソーサーに置いて、レド様は続ける。

「今日、皇宮での緊急会議に出席して────俺は、改めて…、この国の状況が異常だと思い知った。前世の記憶を取り戻したから猶更だ。この状態のまま、何処かの軍勢に攻め入られたり、大災害が起こったりでもしたら────この国は…、確実に終わる」

 レド様は重々しくそう仰った後、目線を伏せた。

「これまでは────俺は、なすすべもなく、皇妃たちの悪意をやり過ごすだけだった。だが、リゼのおかげで、俺は奴らに対抗する術と縁を手に入れることができた。俺は────これ以上、皇妃たちの好きにはさせたくない。奴らが失脚するのを待つのではなく────ロウェルダ公爵らと共に奴らを一掃して、この国の現状を変えたい」

 そこで言葉を切り、レド様が再び目線を上げた。明け方の空を思わせるその淡紫色の瞳には、強い光を湛えていた。

「リゼ、ディンド、ジグ、レナス────俺に…、力を貸してくれるか?」

「勿論です、レド様」

 私は迷うことなく頷く。レド様がそう決意されたのなら、これまで培ってきたものを────今持てる全てのものを以てご助力するだけだ。

「御心のままに────どうぞ、我が力を存分にお使いください」

 ディンド卿が、引き締めた表情に決意を滲ませて応える。

「そのようなことは、訊くまでもないことです」
「ルガレド様の思うままになさってください。オレたちは────何処までもついて行きますから」

 続けて、ジグとレナスが、当然のごとく答える。

 レド様は、嬉しそうに───どこか安堵したように、口元を緩めた。

「ありがとう。─────頼りにしている」


◇◇◇


「旦那様───皆を連れて参りました」

 私たちがお茶を飲み干したとき、ラムルが仲間たちを伴って現れた。ラムルのことだから、おそらくタイミングを見計らっていたのだろう。

 ラムルがレド様の傍に───エデルが私の傍に控え、他の仲間たちが席に着いたところで、レド様が口火を切った。

「ヴァムの森に造られた集落の件は聴いていることと思う。この件で、俺は皇王陛下より指揮権を
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