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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十六章―黎明の皇子―#8
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のだけど。
「今回───私は、魔獣や魔物を討ち取ることに専念する。冒険者の指揮はガレスさんに任せてあるから、ガレスさんの指示をちゃんと聞いて従ってね」
「「わかった」」
「仲間や目の前の敵だけでなく、周りを気にすることも怠らないで。それから」
「「どんなときでも考えることを止めるな」」
「だろ?」「でしょ?」
いつかのように、ラギとヴィドは先回りして答えて、にっ、と二人らしい笑いを浮かべた。その笑顔を見て、私の口元も緩む。
「そう───考えることを止めちゃ駄目だよ。状況をきちんと見て、考えることを止めなければ────たとえ窮地にしか思えなくても、切り抜けられる方法が見つかるかもしれない。それを────忘れないで」
しっかりと頷くラギとヴィドには、先程の蝕まれそうな不安は見られない。
この二人は大丈夫だ────そう感じられて、私は目元も緩めて、笑みを深めた。
※※※
すべての打ち合わせを終えて、緊急会議に出席したバドや冒険者たちと一緒に、階下に戻ったガレスは、待機していた冒険者たちの雰囲気が変わっていることに気づいた。
ガレスから離れて、パーティーリーダーである冒険者たちが、それぞれ自分の仲間たちの許へと向かう。
リーダーを迎える冒険者たちの表情は、朗らかとまではいかなかったが前向きに感じられるもので───緊急会議に出向く前の不安に圧し潰されそうなものとは明らかに違った。
「セラ、何かあったのか?」
ガレスの質問が何を指すのか察したセラは、微かな苦笑いを浮かべた。
「我らが“孤高の戦女神”の仕業ですよ」
「リゼの?」
「ええ。みんなが不安と緊張でピリピリしている中に、リゼさんがやってきて────ちょっとラギ君とヴィド君に話しかけただけで、あっという間にこれですよ」
セラは、そのときのことを思い出したのか、改めて苦笑する。
「そう特別なことを言ったわけではないんですけどね」
ガレスには、何があったのか解ったような気がした。おそらく、あの集落潰しのときと同様のことがあったのだろう。
あのときもリゼラは、ただガレスと会話しただけで、あの場にいた冒険者たちの不安と緊張を解消させてしまった。
どんな事態でも泰然としているリゼラは、リゼラがいてくれれば、どうにかなると思わせるような───必ず切り抜けられると信じさせてくれる何かがあった。
そして、それは決して気のせいに留まらない。舌を巻きたくなるほどの洞察力と考察力、単独で魔獣を討伐できるほどの実力で以て、いつだってリゼラは確かに成し遂げる。
女性でありながら史上最年少でSランカーとなったという情報だけで、リゼラの実力を疑う冒険者は、大抵がリゼラと一度接
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