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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十六章―黎明の皇子―#7
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。遮蔽物も無ければ、常時全方向を見張ることが難しい────無防備の状態です」
「確かに、それでは新天地を探す方が手っ取り早いな」
レド様は、納得したように呟く。
ゴブリンは魔力量が少ないだけでなく、二足歩行の魔物の中では最弱だ。大して戦力にならないし、移動速度という面において足手まといになる。
ゴブリンの服従の度合いによっては、戦力になるどころか、連れ歩くだけで労力を割かなければならない。
今のうちに腹を満たしておくというのもあるかもしれないが、おそらく切り捨てることにしたのではないかと思う。
「待て────待ってくれ…、リゼ。それは────スタンピードということか?理性を保った魔獣が、複数の変異種とあの数のオーガとオークを引き連れて、スタンピードとか────冗談じゃないぞ…」
ガレスさんが、貴族も交えた会議の最中であることも忘れ、素の口調で言う。
「“スタンピード”────『魔物の大移動』を意味する言葉だった、か?」
レド様が知っていたことに、私は少し驚きながらも頷いた。
「はい。魔物は、集落や巣を築いたら規模を大きくして強化することに力を注ぎ、めったに集落や巣を捨てることはありません。ですが、稀に何らかの事情で捨て、新たに集落や巣を築けそうな場所を探して───集団で移動することがあります。それを、私たち冒険者は“スタンピード”と呼んでいるのです」
頷くだけに留まらず、貴族たちや経験の浅い冒険者への説明も兼ねて、詳しく答える。
「集落を捨てる…」
レド様は口元に手を遣り、少し考え込んでから────言葉を零した。
「これは────好都合かもしれないな…」
レド様の発言を受けて、集まっていた視線に伺うような眼差しが混じる。
「ヴァムの森に造られた集落は、塀や見張り台などがなく攻め入りやすいが、集団で連携して戦うには建物が密集している。こちらには、あの状況は不利だ。だが────奴らが自ら出て来てくれるというのなら…、好都合だ」
レド様は、誰に向けるでもなく────不敵に笑う。
「うまくやれば────こちらが有利な状況に持ち込める」
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