暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十六章―黎明の皇子―#7
[2/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
《ポータル》】の見張りについているパーティーには、リーダーに限らずパーティーの誰かしら一人だけ代表で会議に出てもらうつもりだ。


 イスはないので立ったままの貴族たちは、左胸に右手を当て、レド様に対して一斉に頭を下げた。

「皆、足労をかけた。こうして参じてくれたことに礼を言う」

 レド様は、貴族たちを労う。

「参加者が出揃い次第、会議を始めることにする。それまで、楽にしていてくれ」

 レド様がそう言葉をかけると、貴族たちはそれぞれに頭を上げ、途端に漂う空気が緩んだ。

 それを横目に───レド様と私は、ディンド卿と姿をくらませたジグとレナスを伴い、上座へと向かった。

 私たちが上座に辿り着いたとき、甲冑を身に着けた一団が入って来た。

 “デノンの騎士”だ。人数的に、おそらく、各小隊の隊長とその補佐官あるいは副長だろう。

 彼らは、こちらへと歩み寄ると、一様に兜を脱いで左手に抱えた。そして、レド様に向かって片膝をついて(こうべ)を垂れる。

「皇王陛下の命により、馳せ参じました。我ら“デノンの騎士”6個小隊は、これより、ルガレド殿下の指揮下へと入ります」

 代表して口上を述べたのは、ファルお兄様だ。

「了解した。これより、其方らの命───このルガレド=セス・オ・レーウェンエルダが預かる。民を護るために、其方らのその力、存分に発揮してもらおう」
「はっ、有難き幸せ」

 レド様のお言葉にファルお兄様が応え、他の騎士たちが一層深く頭を垂れた。

「名乗りを」

 レド様が自己紹介を促すと、ファルお兄様を皮切りに、順に名乗りを上げていく。

 辞令式のために帰還していただけあって、全員が貴族子弟であるらしい。この中では公爵公子であるファルお兄様が貴族として一番身分が高く、そのためにレド様への対応を一任されているようだ。

「参加者が出揃い次第、会議を始める。それまでは、楽にしていてくれ」
「「「「「「はっ」」」」」」

 最後は全員で返事をしてから、騎士たちが立ち上がる。

 騎士たちがレド様から離れていく中、ファルお兄様と例の前世が“木こり”だった騎士だけはその場に留まった。

 その騎士───セグル=アス・オ・ノラディスも今日は兜を脱いで、顔を晒していた。イルノラド公爵の側近によく似た顔とその名から、ファルお兄様を補佐していることに納得する。いずれ、公爵家を継いだファルお兄様の側近となる身なのだろう。

 ファルお兄様は引き締めていた表情を崩して、私に向かって口を開いた。

「リゼ、あのオーク野郎───じゃなかった…、ビゲラブナの野郎───じゃない…、ビゲラブナ伯爵の奴に、酷い侮辱を受けたと聞いたが、大丈夫だったか?」

 あんまり言い直せて
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ