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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十六章―黎明の皇子―#6
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く。
「…っ」
自分が悪し様に言われることは予想していたし、その覚悟はしていた。
仲間たちに嫌な思いをさせるかもしれないと懸念もしていたけれど────こんな風に自分のせいで親しい人が実際に侮辱されるのは、考えていたよりもずっと悔しくて────心の底からガレスさんに申し訳なかった。
「たかが支部の一つを任されただけの小物のくせして、この私に」
「───黙れ」
それは────決して、大きな声量ではなかった。だけど、その声は、広いはずの室内にはっきりと響き渡った。冷ややかな沈黙が降りる。
「あのような────え?」
頭の回転が悪いのか────先程同様、ビゲラブナは、すぐには状況を理解できなかったようで、一拍遅れてから訊き返した。
「黙れと言っている。その汚い口を閉じろ────ビゲラブナ」
間抜け面を晒すビゲラブナに、一瞬で身体の芯まで凍り付かせるような声音で応えたのは────立ち上がり、全身に怒りを湛えたレド様だった。
まるでレド様に同調するように───背後のジグとレナス、ハルドからも強い怒りが立ち上るのを感じた。
「な────」
言い返そうとして、レド様に眼を向けたビゲラブナは、レド様の怒りの程を目の当たりにして、言葉を呑み込んだ。
血の気が引いたらしく、その頬が弛んだ見るに堪えない顔は見るからに白い。それでも、何とか悪態をつこうと口を開いた。
「お、皇子といえど、なんて無礼な────」
「無礼なのは貴様だ、ビゲラブナ。ファルリエム子爵は、いずれ皇子である俺の妃となる身であり───俺が命を預けた親衛騎士だ。貴様ごときが侮辱していい存在ではない」
レド様の静かだけれど圧し潰すような剣幕に、ビゲラブナは、ひっ、と悲鳴のような声を漏らしたが────レド様は構うことなく、畳みかける。
「言っておくが───ファルリエム子爵が単独で、魔物の群れを殲滅するところも、魔獣を討伐するところも、俺は何度もこの目で見ている。つい先日にも、ファルリエム子爵は商隊を襲った魔獣を討伐した。目撃した者も多い。ファルリエム子爵の実力は少し調べればすぐに判明するはずだ。それを…、国の重責を担う立場でありながら───調べもせず、憶測とも言えない貴様の妄想だけで、このような公の場で侮辱するなど───しかも、大陸最大の組織である冒険者ギルドを貶めるなど…、一体どういうつもりだ」
一言発する度に、レド様が纏う怒りは増していく。
ようやく思考が廻り始めた私は、レド様を止めるべきか迷う。
私とガレスさんのために怒ってくれるそのお気持ちは嬉しいし───冒険者ギルドを敵に回さないためにも、この場でビゲラブナを叱責することは必要ではある。
だけど、これで
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