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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十六章―黎明の皇子―#6
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オーガが(およ)そ200頭弱、オークが凡そ300頭ほど、コボルトが凡そ50頭ほどだということは判明しています。ゴブリンについては、10頭以上いるのは確かですが、大雑把な数でさえ不明です。それから、先程も言った通り、オーガやオークそれぞれに変異種が複数───そして、巨大化を遂げたオーガの魔獣が1頭、確認されています」

 この数字は、斥候役の冒険者が報告した数だ。

 今朝、【立体図(ステレオグラム)】を更新した際に、もっと正確な頭数が判明してはいるけれど───ガレスさんの説明にもあったように、動き回る魔物を精確に数え上げるのは難しい。集落の規模が大きければ猶更だ。

 正しい頭数を上げるのならば、私たちの能力を明かさなければならなくなる。

 集落の広さで前回潰した集落の3倍ほどだと印象を持ったが、魔物の総数だけで考えると5倍近い。


「何だ────大げさに言うから、どれほどのものかと思えば…。オーガが200だのオークが300だの、その程度でこんなに大騒ぎをしているのか」


 不意に嘲るような声が、緊張が張り詰めた静けさを破った。

 声の主は────ビゲラブナ伯爵だ。

「フン、たかだか500程度の魔物で、大騒ぎして────冒険者というのは、本当に無能な連中だな。何が『民を護るのは国の責務』だ。単に自分たちの手に負えなかったから、泣きついて来ただけではないか」

 先程の仕返しのつもりか、ビゲラブナ伯爵はこちらを煽るように思いきり鼻を鳴らして言い放つ。

「ビゲラブナ伯爵の言う通りですな。たかが500程度とは────緊急会議を開くほどでもない」

 ビゲラブナ伯爵に追従(ついしょう)して誰かが呟くと、貴族側で小さなざわめきが起こる。

 呟いたのは皇妃一派の者だと思うが、他の貴族もその意見が尤ものように思えたらしく、張り詰めていた緊張が緩んでしまった。

 魔物や魔獣と関わらずにいられる貴族には、数千数万の騎士や兵士が動員されるような戦争などに比べたら、大した数には感じられないのかもしれない。

 これは────非常にまずい流れだ。

 その雰囲気に気を良くしたらしいビゲラブナ伯爵は、目元と口元を歪ませて────醜悪な笑みを浮かべる。そして、駄目押しとばかりに続けた。

「しかも、貴族令嬢としての義務を怠った我が儘娘に最上位ランクを与えるなど───組織としても腐っていると見える。おい、ギルドマスターとやら、はした金でも積まれたのか?それとも───その我が儘娘の情夫にでも成り下がったのか?そんな小娘、我々正統な貴族からしたら出来損ないでしかないが───お前のような下賤な者には、それでも上等に思えるのだろうな」

 ビゲラブナは醜い表情で嘲笑いながら、ガレスさんに侮蔑の言葉を吐
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