暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十六章―黎明の皇子―#6
[2/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


 私はと言えば、思わず吹き出しそうになった。

 いや、レド様が陣頭指揮をとるかもしれないこと、私も戦いに参加することを考えれば───ここで私の経歴を明かしておいた方がいいというのは解る。

 だけど、話を盛り過ぎじゃないですか?『冒険者と商人の間では知らぬ者はいない才媛』とか、詐称の域ですよ…。

「それから────冒険者ギルド皇都支部ギルドマスターのガレス殿。ガレス殿は、数多の功績を残したAランクパーティーのリーダーを勤め上げた元Aランカー冒険者で、その実績と才覚を買われ、この冒険者ギルド皇都支部の統括を任されている実力者です」

 続けて、ガレスさんのことも簡単に紹介する。

「それと、第四皇子ジェスレム殿下と彎月騎士団団長ゲスミル伯爵ですが───ジェスレム殿下は先日教会で起こった魔獣騒ぎで精神的にお疲れとのことで欠席、ゲスミル伯爵は皇都不在のため欠席となっております」

 最後に、ジェスレム皇子と彎月騎士団団長がこの場にいない事情を話して、おじ様は本題へと入った。



「それでは、集落の規模と様相について────ガレス殿、お願いします」

 ガレスさんが立ち上がる。貴族たちのざわめきが消え、辺りが静まり返った。

「まず───集落の広さですが、皇都の平民街に相当します。囲いのようなものはありません。石造りのあばら家が満遍なく建ち、見張り台や物見(やぐら)の類はありません。オーガ、オーク、コボルト、ゴブリン───4種の二足歩行の魔物が共存しており、魔獣化していると思しき巨大化したオーガが1頭───それと、オーガ、オークそれぞれに、複数の変異種を確認しています」

 “コボルト”は、狼とも犬ともつかぬ頭を持つ、二足歩行の魔物だ。

 ゴブリンに比べれば大きいが、人間の成人女性より一回りほど小さい。その体格から、やはり単体ではオーガやオークには敵うべくもないが────動きは素早く、鼻も利く。

 その上、オーガを上回る知性を持ち、数によってはオーガやオークより手こずることもある。

 私が初めて集落を偵察したときは目につかなかったけど、後で改めて【立体図(ステレオグラム)】をつぶさに確認してみると、コボルトも集落内に存在していた。

 オーガやオークに比べて数がいないことと───それに、どうやらこの集落の斥候役を担っているらしく、あのとき、大半のコボルトが集落の外に出ていたから、目につかなかったようだ。

 おそらく【隠蔽(ハイディング)】が消失したために、斥候に出されていたのではないかと思う。集落を監視している冒険者から、幾つかのコボルトの集団が、日が沈む頃合いに集落へと入っていったと報告があったそうだ。

「魔物は動き回っているため、正確に数えることは不可能ですが───
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ