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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十六章―黎明の皇子―#5
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、リゼは傍にいなかったんだな…」

 レド様が、右眼を見開いて呟く。

「でも、良かったかもしれません。緊急会議でなら、私が何か粗相をしてしまっても、それどころではないですよね」
「ああ、その通りだ。だから───二人ともそんなに気負う必要はないからな───リゼ、ハルド」

 私の意図を察したレド様が、後を続けてくれた。

「はい、ありがとうございます、レド様」
「…ありがとうございます」

 ハルドの表情も、少しだけ緩む。

「それよりも────もしかしたら…、俺のせいで嫌な目に遭わせてしまうかもしれない。すまない、二人とも」

 レド様が目元を曇らせて、打って変わって暗い声音で言う。

「いえ───レド様、それは私のセリフですよ。おそらく、レド様よりも、新参の私の方に矛先は向くと思います。レド様にもハルドにも、本当に申し訳ないです」

 この緊急時に、そんな下らないことをする余裕はないと思いたいが───あの皇妃あるいは、その腰巾着たちは、そもそも、緊急事態だと認識すらできていない可能性もある。

 有象無象には何を言われても、私は気にしないでいられるが───自分のせいで、レド様とハルドが嫌な思いをするのは耐えられない。

「そんな下種がいたら────どうしてやるのが一番いいか……」
「え?」
「いや、何でもない。────申し訳なく思う必要などない、リゼ。それは、その下種どもが悪いのであって、リゼが気に病むことはないからな」
「殿下の仰る通りです、リゼラ様」

 にこやかなレド様と目を据わらせたハルドは表情は正反対なのに、醸し出す気配はそっくり同じだ。ついでに姿をくらませたジグとレナスもだ。剣呑なことこの上ない…。

 まあ───レド様の悲壮感も、ハルドの緊張も、何処かへ行ってしまったようだし良かった、のかな?

 それに、私がされるかもしれない仕打ちを心配して、喚起してくれているのだと思うと、素直に嬉しかった。


◇◇◇


 皇宮の大会議室は───前世であったような、いわゆる“会議室”とは様相が違った。“法廷”と“円卓会議”を足したような───と言ったらいいのか。

 空間としては、広いは広いが、少し変わった比率の部屋で───“教室”より少し広いくらいの幅しかないのに、下座の壁までは“教室”5〜6個分くらいの距離がある。

 その上座には、皇族や大臣クラスの役職などが座すと思われる重厚なカウンター席が、通常席より床を高くして、二段に渡って造り付けられていた。

 そして、その空間の真ん中に、上級貴族のダイニングテーブルですら比べ物にならない───何十人座れるのか、ぱっと見では見当もつかない長さのテーブルが置かれている。


 迎えに来た侍従は、あの夜会を知ら
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