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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十六章―黎明の皇子―#5
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ハルドが控えている。

「リゼ」

 ソファから立ち上がったレド様が、私を出迎えてくれる。

 レド様の全身を目にして────また余計な言葉を零しそうになって、私は慌てて口を噤む。

 レド様が身に着けているのは、先程と同様───漆黒のコートとベストだ。だけど、コートの襟の形や着丈など異なるため、印象もかなり違う。

 コートの上襟は立ち襟になっていて───下襟は幅広で、隅が星銀(ステラ・シルバー)のボタンで留められていた。勿論、銀糸の刺繍とパイピングがなされている。

 揃いのベストにも同じパイピングが施され、ボタンはコートの襟のものよりも一回り小さいものが取り付けられている。

 コートの襟の形も、コートやベストの刺繍も、星銀(ステラ・シルバー)のボタンも────私が着ているものと同じデザインであるのに、何だか、レド様が身に着けた方が断然良く見える…。

 そんなことを考えながら、見惚れていたら────

「リゼ────とても似合っている」
「レド様も、すごくカッコいいです───、…っ!」

 ああっ、褒めてくださったレド様の笑顔につられて、またやからかしてしまった…!私って、本当に進歩がない……。


 レド様に手を牽かれるまま───私はレド様の隣に腰を下ろす。すかさず、カデアによって私のために淹れてくれたお茶が置かれた。

「ありがとうございます、カデア」

 私は、お茶を一口だけ含んで喉を潤してから、傍らのレド様に切り出した。

「レド様、緊急会議での私の立ち振る舞いについて、幾つか確認させていただきたいのですが────」

 ロウェルダ公爵邸に滞在させてもらった一週間で、おば様の親衛騎士だったマイラさんに、立ち位置や振る舞いなどを指導していただいたものの───おば様は皇女であったため、夜会やお茶会、晩餐会、そして主だった式典での場合しか教えてもらうことはできなかった。

 私が親衛騎士として、公の場でレド様に随行するのは───実質初めてとなる。レド様の足を引っ張るような真似だけはしたくない。

「解った。ちょうど、ハルドに教えるところだったんだ」
「では、ハルドを伴うのですね?」
「ああ。こういう場合───身分の高い者は、護衛と侍従を一人ずつ伴うのが通常だ。まあ、武門の貴族だと側近がその両方の役割を担うことも多いが」

 ちらりとハルドを窺うと、ガチガチに緊張しているように見えた。無理もない。ハルドにとって、これが侍従デビューとなる。

 まあ、私も他人事ではないのだけれど。

「よろしくね、ハルド」
「…はい」

 ハルドはぎこちなく頷く。

「私も、これが正式な親衛騎士デビューですね」
「そうか───そうなるのか…。───つい2ヵ月前までは
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