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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十六章―黎明の皇子―#4
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それは────不幸中の幸いかもしれんな。下手に、身分しか取り柄のない無能な輩を寄越されても困る」
ガレスさんが、しみじみ言う。
その声音には不安ではなく、レド様への信頼が籠っていて────ガレスさんがレド様を信頼してくれていることに、私は嬉しくなった。
レド様も、口元を微かに緩める。
「今回の集落潰しは───規模は勿論、様相がいつもとは違う。アレドが冒険者となってくれたこともだが、リゼが皇都に残ってくれていて───本当に幸いだった。例年通りなら、リゼは“大掃討”に参加していただろうからな」
「ああ、本当にそうだな」
ガレスさんの言葉に、バドさんが頷く。
確かに───その通りだ。レド様の親衛騎士にならなかったら、私は“大掃討”に参加していて───事が起こった後に知らされるだけだっただろう。
私が何も知らずに遠くで過ごしているときに、この皇都にいる大事な人たちが惨事に巻き込まれていたかもしれないことを考えると、ぞっとした。
それに───私たちが辺境に行かされる前に発覚して良かった。
ラギとヴィドが見つけてくれて良かったとは未だに思わないが───やはりこのタイミングで発覚したことは最善だったのだ。
私はようやく────そう思うことができた。
「それから────報告しておくことがある」
今後のことなど幾つか話し合った後に、レド様が切り出した。
「ディルカリド伯爵の件だが────ディルカリド伯爵と従っていた者を捕らえた。これで、奴らが新たな魔獣を造り出すことは────もうない」
ガレスさんとバドさんが、眼を見開く。
「ディルカリド伯爵たちのことは、然るべき処分をするつもりだ。だから、安心して欲しい」
「そうか…。では────後は、ヴァムの森の集落にいる魔獣だけか…」
集落にディルカリド伯爵が造り出した魔獣が君臨していることは、すでにガレスさんたちには報告済みだ。
レド様とおじ様に相談しないまま報告することに躊躇したが────集落の異様さは明らかなので、事情をある程度知っているガレスさんたちには隠しておくことはできなかったのだ。
「それなら、ヴァムの森の集落に集中できるな」
ガレスさんの声音には、安堵が入り混じっていた。バドさんも僅かに表情を緩めた。
これで────重要な相談、報告は終えたかな。
「ガレスさん、お願いしたいことがあるんですが…」
「何だ?」
「ここ三年の間に起きた魔術陣の盗難事件の詳細を知りたいんです」
魔術陣はとても高価なものだ。元から高値だったことに加え───三年前のディルカリド伯爵家の取り潰しに伴って、さらに値段は跳ね上がっている。
当然───魔術陣を所持
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