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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十六章―黎明の皇子―#4
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スさん───というか冒険者ギルドに、ディルカリド伯爵の件を何処まで報告すべきかも、レド様と相談しないと。これは、おじ様も交えた方がいいよね。


「リゼ───待たせた。全員分の昼食を創り終えたから、朝食にしよう」

 レド様に声をかけられて、私は回らせていた思考を中断する。

 レド様に瞳を向けられ、レド様の声を聴けることに、確かな幸せを感じながら────その感情のまま笑みを零し、私は頷いた。


◇◇◇


「なるほど。これが────例の集落か…」

 朝食を終え、お邸から孤児院に転移した私たちは───レド様が、先にヴァムの森に造られた集落を見ておきたいと仰ったので、冒険者ギルドへ赴く前にヴァムの森へと足を運んだ。

 隠れて監視する斥候役の冒険者たちを避けて、集落へと近づく。

 そして───昨日と同じように【結界】を纏って、集落を囲う木々の一つに登って見下ろした。

「…石造りか。それに、以前見た集落とは違って、建物が密集しているな」

 レド様の言う通り───皇都の平民街ほどはびっちりと密集してはいないものの、これまで見てきたオークやオーガの集落よりも建物の間隔が狭い。

 大抵の集落は、中央に広場か見張り台があり、それを囲う形で家があり、さらにそれを塀で囲っている。

 だけど、この集落は───中央にゴブリンを捕えている檻があり、満遍なくあばら家が建っていて、広く開けた場所というのがない。

「塀がないのは攻め入りやすくはあるが───森に逃げ込まれる確率も高いな。どの道、集落に攻め込むのは得策ではなさそうだ」

 確かに、この集落の様相では戦い難い。相手は、人間ではなく───魔物あるいは魔獣だ。集団で連携して戦うには、建物が密集している。


「リゼ────昨日と比べて、周囲の魔素量はどうなっている?」
「そうですね…。昨日より、少し増えています。それでも、まだまだ普段に比べたら少ない状態ですが…」

「この遺跡に施されている魔術式───【隠蔽(ハイディング)】といったか。それは、魔素が必要量あれば、自動的に取り込んで発動するようになっているのか?」
「分析してみます。少しお待ちいただけますか?」

 私は、すぐさま【心眼(インサイト・アイズ)】を発動させて───魔物の集落が築かれた広場を、じっと視る。

 しばらくして、魔術式が地中から浮き上がってくるかのように現れた。昨日よりも詳しい情報を得るために、さらに凝視し続ける。

「レド様のお考え通りのようです。魔素を自動的に取り込み───発動するよう設計されています」
「そうか…。魔術式が発動して───再び集落を認識できないようになってしまったら厄介だ。リゼ、あの魔導機構を停止させることはできるか?」


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