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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十六章―黎明の皇子―#3
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など微塵も感じさせない朗らかなものだった。
「ありがとう────リゼ」
※※※
泣き疲れて自分の腕の中で眠りに落ちたリゼラを、ルガレドは靴を脱がせてからベッドに引き入れ、自分の隣に寝かせた。
そして、リゼラの目元に未だに残る涙を優しく拭う。
自分のために泣いてくれたリゼラが───心を砕いてくれるリゼラが、本当に愛おしくて仕方がない。
ルガレドがリゼラと出逢えた幸せを噛み締めていると────ノックの音が響いた。扉の前の気配は二人。おそらく、ラムルとディンドだ。
リゼラとの会話が終わるのを、見計らっていたに違いない。
「入れ」
「失礼いたします」
ルガレドの予想は違わず、ラムルがディンドを伴って入って来た。続いて、ジグとレナスが揃って現れる。
リゼラの寝顔を自分以外の男に見せたくなかったルガレドは、リゼラが寝ている方とは逆側からベッドを降りて、仲間たちの許へと向かった。
リゼラが起き上がる様子がないことに気づいて、ラムルが訊ねる。
「リゼラ様は眠られてしまわれたのですか?」
「ああ。だから、あちらで話そう」
リゼラを一人残して別の部屋に行くことが
憚
(
はばから
)
れ、ルガレドは寝室の端に置かれたソファセットを指し示した。
「どうやら────記憶を取り戻されたことでの支障はなさそうですね」
ルガレドの顔色を窺っていたラムルが、心配というよりは、確認するように呟く。
まったく心配していなかったわけではないだろうが────ルガレドが辛い記憶を思い出すことを、リゼラのように悲観してはいなかったのだろう。
ルガレドはそんなことで潰れてしまうような軟な男ではないし────成人前の孤立した状態ならともかく、今は身を案じてくれる仲間たちや、何より寄り添ってくれるリゼラが傍にいるのだ。
それなのに────いくら悲惨なものとはいえ、ルガレドが記憶なんかに潰されるはずがない。
「それでは────報告を聴こうか。俺が意識を失った後のことを教えてくれ」
「かしこまりました」
ラムルが地下遺跡でのことに始まって教会での出来事を語り───時折、ディンドとレナスが補足する。
そして、ラギとヴィドが大ケガを負ったこと、ヴァムの森でのことに話が及ぶと────ルガレドは得心がいったように溜息を
吐
(
つ
)
いた。
「そうか────それで…、リゼは泣いていたのか」
リゼラは、地下遺跡の【
最適化
(
オプティマイズ
)
】を先送りにしたことを、ひどく後悔しているようだった。
ルガレドが記憶を取り戻したことに加え、大事な子供たちがケガをしたことに、真面目なリゼラは責任を感じてしまったのだろう。
「まったく…、大
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