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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十六章―黎明の皇子―#3
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に辿り着いた。これから先────俺たちには、この記憶が必要となるのだろう」
それは、ラムルにも言われたことだ。
だけど────そうだとしても、レド様が辛い思いをすることなど許容できるはずがない。
私は思いがつっかえて言葉にならず────レド様の腕の中で、ゆるゆると首を横に振る。
「それに、俺は────記憶を取り戻せて良かったと思っている。確かに、とても────とても…、辛くなる記憶だ。だが、母上が俺にしてくれたこと────そして、俺が今どんなに恵まれているかを知れたことは…、本当に良かったと思っている」
今どんなに恵まれているか────レド様のその言い方に引っかかった。
それでは、まるで前世ではもっと辛い状況にあったように聞こえる。
レド様の“一度目の人生”では、ジェミナに虐げられることなく、皇族として本来受けるべき恩恵を受け、普通に過ごせていたはずだ。
何より────セアラ様も祖父であるファルリエム辺境伯も亡くなることなくお傍にいて、今世より恵まれた生活を送れていたはずなのに。
私の疑問を察したのか、レド様は続ける。
「前の人生で、俺は────死ぬ瞬間まで…、この神眼に悩まされていた。四六時中はるか遠くまで見通し────否が応でも他人の性根を視てしまうことに、疲れていたんだ。
確かに、あの人生では、皇宮がジェミナの手の中に落ちることはなかったが───先代ベイラリオ侯爵は皇宮をどうにか自分の支配下に置こうと、暗殺者や自分の手の者を潜り込ませるだけでなく、すでに仕えている使用人たちを時には人質をとってまで取り込もうとした。殺意や悪意、信じていた者の心変わり───幼い頃からずっとそんなものばかりを視せられて…、心底から疲れていたんだ」
そうか───今世では、レド様の神眼は傷つけられ、長いこと【千里眼】は機能していなかった。
それに、皇妃によって隔離されていたから、他人の性根を視る機会もそれなりでしかなかった。
だけど、“一度目の人生”では、それらの制限はなく、神眼は常に発揮されていたはずだ。
「何度────何度…、この眼さえなければ────そう思ったことか…」
ああ…、だから────レド様のその苦しみを知っていたから、少しでもその苦しみを和らげようと、セアラ様はザーラルさんに相談したんだ。
「だが────今はこの眼帯がある。自分の意志で、必要な場合だけしか視なくていい。本当に────本当に…、今の俺は恵まれている…」
レド様は、その思いを噛み締めるように────言葉を零した。
「リゼは────前の人生での俺の最期がどういうものだったか…、聴いているか?」
「…はい」
「あのとき、俺は…、民衆の怒号を聞きながら────神眼
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