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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十六章―黎明の皇子―#2
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お傍にいて決して不幸にはさせないと誓ったのに、どうして────どうして…、あのとき、レド様のお傍を離れてしまったのだろう────そう思ってしまったら、もう駄目だった。

 後悔と自分の不甲斐なさが膨れ上がって、涙となって溢れ出る。

 零れた涙が頬を伝う。涙は止まることなく───次々に溢れ出て、頬を流れ落ちていった。

 嗚咽が漏れそうになって、私は慌てて両手で口を塞ぐ。

 ジグとレナスは、今も隠し部屋で護衛をしてくれているはずだ。泣いていることを知られたら────きっと心配をかけてしまう。

 涙を止めようとしたけれど────止まらない。

 泣いたってどうしようもないのに────それでも涙が止められない自分が情けなくて…、余計に涙が溢れた。

「リゼ────どうした…?何故、泣いている…?」

 不意に耳に入った────昨日からずっと聴きたくて堪らなかった、レド様の耳の奥に残るような低い声。

 だけど、そのときの私には都合のいい幻聴だとしか思えなくて────その問いに応えることなく、私は両手で口を塞いだまま俯いていた。

 そっと(まなじり)に残る涙を拭われて────確かな感触に、私は驚いて顔を上げる。

 レド様が────左腕をベッドに突き上半身を起こして、その濁りのない淡紫色の瞳を私に向けていた。

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