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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十六章―黎明の皇子―#2
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採取を行っていたとのことだった。

 森の入り口付近に生えているものは低ランカーのために残し、採り尽くさないよう心がけて薬草や果物を採取しながら、徐々に奥へと入っていったようだ。

 そして、オーガに遭遇したのは────昼下がりだったという。

 私が────【魔素炉(マナ・リアクター)】をフル稼働させて、地下施設の【最新化(アップデート)】をしていた時刻だ。

 つまり、これも────私の“祝福”の一環なのだろう。

 もし、この時点で集落が発見されていなかったら、被害は増え続けて、ついには皇都まで及び────取り返しのつかない状態までなっていたかもしれない。

 最初の発見者がラギとヴィドだからこそ、ラナ姉さんに助けてもらうことができ───他に被害者を出す前に私たちが知ることができた。

 他の低ランカーが発見した場合、オーガから逃げ切ることができず───逃げ(おお)せたとしても、助からなかった可能性の方が高い。

 このタイミングで、集落の存在が発覚したのは良かったのだということは───頭では理解できる。

 でも────だからといって、ラギとヴィドが発見してくれて良かったとは思えなかった。

 勿論、他の低ランカーだったら良かったとも思わないし────昨日、ラギとヴィドの他にはヴァムの森に入っていた者はいないと知って、安堵したのも本当だ。

 だけど────ヴァムの森で見つけた惨状、それに、ラナ姉さんから聴いた二人のケガの詳細から考えると────ラギとヴィドは、ラナ姉さんがいなければ、おそらく命を落としていた。それくらいの大ケガを負っていたのだ。

 もしかしたらラギとヴィドは死んでいたかもしれない。その事実に───私は、心の底からぞっとした。

 私が────おじ様への注進を優先して、地下遺跡の【最適化(オプティマイズ)】を先送りにしなければ────レド様にどうするか訊かれた、あのときに【最適化(オプティマイズ)】をしておけば───ラギとヴィドが、そんな大ケガを負うこともなかった。

 そうしたら、レド様のお傍を離れる必要もなく────レド様が…、あの悲惨な末路を思い出してしまうこともなかった。

 そう考えると、胸が苦しくて────息が詰まった。

 あのときは、あれが最善だと思ったけれど────本当に最善だった?
 もっと────もっと他に…、レド様が前世の記憶を取り戻したり、ラギとヴィドが大ケガを負う必要のない────良い方法があったんじゃないの?

 そんな疑問が拭えなくて────レド様のこの状態も、ラギとヴィドがケガを負ったことも、私の判断ミスのようにしか思えなくなって────考えれば考えるほど、胸の苦しさは増していく。

 レド様を絶対に護り抜くと…、
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