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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十六章―黎明の皇子―#2
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しかしたら───レナスと共に討ったあの魔獣のように、前世の記憶を持っているという可能性もある。
私は【
心眼
(
インサイト・アイズ
)
】を発動させると、眼下の集落を見据え────ノルンに呼びかける。
「ノルン───投影はしないで、【
立体図
(
ステレオグラム
)
】の更新だけをお願い」
───了解しました、
主
(
マスター
)
リゼラ。投影はせずに、<
転移港
(
ポータル
)
:
第七研
(
セブンス・ラ
)
究都市
(
ボラトリー
)
トファルヴァム>の【
立体図
(
ステレオグラム
)
】の書き換えのみを開始します───
【
立体図
(
ステレオグラム
)
】の更新をノルンに任せ───私は【
心眼
(
インサイト・アイズ
)
】で集落を隈なく眺める。
レド様の【千里眼】のように障害物を透かして視ることはできないので、家々の内部まで探るために魔力を両眼に流し込んだ。
すると───集落の中でも一際大きいあばら家の中に、もう馴染みとなってしまったディルカリド伯爵の魔力が視えた。
「…見つけた」
ディルカリド伯爵が造り上げた────おそらく、知能の高い魔獣。4m近い巨体のオーガだ。
───
主
(
マスター
)
リゼラ、<
転移港
(
ポータル
)
:
第七研
(
セブンス・ラ
)
究都市
(
ボラトリー
)
トファルヴァム>の【
立体図
(
ステレオグラム
)
】の書き換えが完了しました───
「ありがとう、ノルン」
私は、【
心眼
(
インサイト・アイズ
)
】を解かずに、今度は“
転移港
(
ポータル
)
”と呼ばれる広場自体を視る。
じっと視続けていると、集落の下に幾つかの魔術式が浮かび上がるように現れた。
分析結果からすると───中心に3つ三角形を成すように敷かれた魔導機構は、3つとも【
転移門
(
ゲート
)
】だった。ただし、これは研究都市とやらとは繋がっておらず、他の都市と行き来するものみたいだ。
私から向かって左奥にも、小さな魔導機構があった。
それも【
転移門
(
ゲート
)
】の一種で、【
脱出
(
エスケープ・イ
)
門
(
グジット
)
】というものらしい。
これは、地下施設の【
転移門
(
ゲート
)
】と繋がっており、名称通り、地下施設の緊急用脱出口だ。この研究都市の【全体図】や【
記録庫
(
データベース
)
】には記されていない。その用途から鑑みても、機密事項なのだろう。
そして、それらすべてを覆うように───重ねて敷かれた巨大な魔導機構。
それは、この【
転移港
(
ポータル
)
】の存在を隠すためのものだった。【
認識妨害
(
ジャミング
)
】の上位互換となる魔術で、名称は【
隠蔽
(
ハイディング
)
】。
古代魔術帝国が滅びてなお発揮されていた、その効果が切れたのは───おそらく魔素の不足。
昨日の地下施設での一件が原因であることは───明
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