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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十六章―黎明の皇子―#2
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は共食いすることすらあるのに────それなのに、共生している?そんなことがあり得るの?


 ふと、他の家より大きく石壁に囲われた個所が目についた。

 それは、集落の中央にあって────屋根はあるが、格子状に丸太が敷かれているだけで、雨を凌ぐことはできそうにない。

 出入り口と思われる石壁が途切れた所に、オークが2頭立っていた。

 石壁の中にいるのは───“ゴブリン”の集団だ。
 あれは───明らかに囚われている。

 “ゴブリン”は───オーク同様ラノベなどのファンタジーお馴染みそのままの魔物だ。

 人間の成人男性の半分ほどしか身長がなく、暗緑色の分厚い皮膚が丈夫なためか、雌雄どちらも体毛がまったくない。

 だが、いくら皮膚が丈夫でも、その小柄な体格でオーガやオークに敵うはずもなく───二足歩行の魔物の中では最弱と見なされている。

 ただ───その分、繁殖力があると謂われていた。膨張期に限らず繁殖して、かつ成長も他の魔物に比べ早い───とも。


「まさか───ゴブリンを繁殖させて…、食糧にしているの?」

 だから…、オーガとオークは共生することができているの?────思わずそう呟くと、傍らにいるレナスがたじろいだ。

「人間を襲うことなく、集落内で自給自足をしていたから────これまで誰にも気づかれなかったということですか?」
「いえ────武具を持つものが多すぎる。おそらく人間にも被害は出ているはず。皇都民や、皇都に滞在している冒険者や商人には表立って被害が出ていないだけなのだと思う」

「ですが…、そうすると、あの魔物たちは────わざわざ人間を襲うために遠出をしている、と?」

 レナスの言葉を、私は首を振って否定する。皇都から離れた所だとしても、冒険者に被害が出たら冒険者ギルドは討伐に乗り出すはずだ。

「では、何処で人間を?」
「私は────街道を行き来する旅人を襲っていたのではないかと考えてる」

 この森の側を通る街道になら、人目につくことなく出られる。

 少人数の団体なら全滅させるのは容易いだろうし、全滅してしまえば、冒険者にしろ商人にしろ───皇都もしくは隣街に辿り着いていないことが発覚するには時間がかかる。

 この集落がいつできたのかは判らないが、まだ被害が発覚していないだけだと考えられる。

「なるほど。…しかし、魔物にしては随分、頭が回る────」

 レナスは呟いて、自分の言葉で思い当たったようで────眼を見開いた。

「まさか────ディルカリドの魔獣が…?」
「おそらくは」

 石壁を造る機転や食糧を確保するようなやり方を鑑みても───ディルカリド伯爵の造り上げた魔獣が、この集落にいる可能性が高い。

 も
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