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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十六章―黎明の皇子―#2
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合間から見えたそれは────確かに、ヴィドの言う通り、魔物の集落だ。

 だけど、よくよく見ると、いつもの集落と様相が違う。屋根は丸太を蔓で括ったものを載せているが、壁は大きな石を積み上げて造られている。

 崩れ落ちないところを見ると、無造作に積み上げてあるように見えて、何か工夫を凝らしているのかもしれない。

 何故いつもと違うのか不思議に思ったが、地面に目を遣って納得した。

 地面というより剥き出しの床は────あの地下施設とおそらく同じ人工物らしき素材が敷き詰められている。あれでは、柱を突き立てることはできないだろう。

 魔物の家には扉はなく───出入口がぽっかりと開いている。並ぶ家々の一つの出入り口から、不意に魔物が出て来た。

 それは────剣を手にしたオークだった。

 出て来た魔物がオークであることに、私は違和感を覚える。そして、すぐに思い出した。ヴィドは────自分たちを襲ったのは、()()()だと言っていたはずだ。

≪木に登って、集落を上から確認する≫
≪御意≫

 私はレナスに【念話(テレパス)】で伝えると───視線を廻らせて、二人で乗っても大丈夫そうな枝を持つ木を探す。ちょうど良さそうな木を見つけ、レナスに手で合図して、二人でその木の許へ向かった。

 足元に【重力(グラビティ・)操作(オペレーション)】を発動させて、レナスと共に、天辺に近い木の枝まで一気に跳び上がる。

「っ?!」

 枝に跳び乗って───眼下に見えたその光景に、私は息を呑んだ。

 まず、感じたのは────広い、ということだった。【立体図(ステレオグラム)】で見たときは縮小されていたせいか感じなかったが、その空き地は広く────おそらく、皇都の平民街に匹敵するくらいの面積はあった。

 平民街ほどには密集していないものの、空き地の目一杯にあばら家が並んでいる。

 集落の規模としては────セレナさんたちと臨んだ集落潰しのときの3倍近い。

「これ、は────」

 無意識に言葉が零れて、途切れた。

 皇都のすぐ側に、こんな───こんなものが存在していたことに、誰一人気づかなかったなんて────

「リゼラ様───あれを」

 レナスに囁かれて、我に返る。レナスの指さした方に視線を向けると、集落の中をオーガが歩いているのが目に入った。

 先程のオークが出て来た家の方を見ると、そこには───やはりオークがいる。見間違いではない。

 まさか───オーガとオークが共生している?

 魔物は弱肉強食で、人間のみならず他の魔物を食す。オーガがオークを襲うのはよくある光景だし、はぐれのオーガがオークの集団に襲われることもある。

 食糧難に
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