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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十六章―黎明の皇子―#1
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 部屋に日の光が満ちたのを───瞼の向こうに感じて、私は目を覚ました。これは、レド様のお邸にある自室のときとは違い───正真正銘の朝日だ。

 日の光が混じった薄闇に浮かび上がる、見慣れない部屋の様相に少し戸惑いつつ───私は上半身を起こす。

 最近ずっと一緒に寝ていたノルンは、昨夜はアーシャと眠ってもらったため、ベッドには私一人しかいない。

 レド様のお邸の使用人部屋より少し広いだけの部屋の中央に置かれた───セミダブルサイズのベッドから下りて、着替えもせずに、そのまま向かって右手にある小さな扉を潜って続き部屋に入る。

 扉の向こうに続く部屋は、今出て来た部屋の2倍ほどの広さで───真ん中に、ダブルベッド2つ分はある大きな天蓋付きのベッドが設えられている。

 そこには────レド様が昨夜と変わらぬ様子で横たわっていた。

 ここ───新しいお邸の寝室は、夫婦の寝室と付随している主人、夫人のそれぞれの個室から成る。先程、私が寝ていた部屋が夫人の個室だ。

 まだ婚約段階であるレド様と私は、いつもは拠点スペースに収めてあるレド様のお邸で寝泊まりしているが、昨夜は、レド様の意識が戻らなかったため───レド様の目が覚めたとき、すぐに駆け付けられるように、夫婦の寝室にレド様を寝かせて、私は夫人の個室で休んだのだ。


 昨日、やるべきことをすべて終えてから────私はレド様のお傍にずっとついていた。

 脂汗は引いて、寝顔も苦しそうな形相ではなくなっていることに安堵したものの───夜が更け、朝方近くなっても、レド様は一向に目覚めなかった。

 レド様が目覚めるまでお傍にいたかったが────ラムルとカデア、それにジグとレナスに少し休むよう諭されて、仕方なく個室で眠りについた。

 辛い記憶が甦ったであろうレド様が───ジグとレナスが陰ながら見守っているとはいえ、傍に誰もいない闇の中で目を覚まさなかったことに少しほっとしたが───同時に不安が膨れ上がった。

 同じく前世の記憶が甦ったジグとレナスは、すぐに正気を取り戻したのに───レド様は未だ意識を失ったままだ。

 古代魔術帝国仕様となったベッドが作動しているところを見ると、レド様は目覚めることができるほど精神が回復されてはいないのだろう。

 それほどに────辛い記憶ということだ。

「レド様…」

 無駄だと知りながらも────震える声で、私はレド様に呼びかける。

 その澄んだ淡紫色の瞳で私を見て────耳の奥に残るようなその声で私の名を呼んで欲しかった。

 そうして、しばらくベッドの側で立ち尽くしていると───ノックの音が響いた。私は反射的に返事をする。

 静かに扉が開き、ラムルが現れた。

「おはようございま
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