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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#14
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文字”で書かれているのではないか────
「ラナ!その文字を書き出してちょうだい!」
「え?」
「早く…!」
ラドアは、現在、この大陸で広く使われている“エルディアナ文字”は読み書きできない。
でも────“帝国文字”ならば読める。
ラナが戸惑いを見せたのは一瞬だった。ラナは、ラドアの真剣な様子に、すぐにその双眸から迷いを消し────紙と墨果筆を取り寄せた。
◇◇◇
ラドアは───ベッドに並んで眠るラギとヴィドに、何度目かの視線を遣って────異常が見られないことに安堵した。
ラナは、夕食を摂りにダイニングへと行っている。ラドアがラギとヴィドを見ているからと、遠慮するラナを強引に送り出したのだ。
ラギとヴィドに【神聖術】をかけ続けたラナは、見るからに疲れていたので、先に休ませてやりたいというのが一番の理由であったが────久しぶりに訪れたこの部屋を、じっくりと懐かしみたいという思いもあった。
ヘッドボードに留まっている、純白の鳥の姿をした神───白炎が、そんな自分を先程から観察していることに、ラドアは気づいていた。
だから────白炎の問いかけにも驚くことはなかった。
<其方───加護を失った神子…、いや、
聖
(
・
)
女
(
・
)
だな?>
「…ええ、そうです。私は────かつて聖女でした」
さすがは“神”だ────そう思いながら、ラドアは答える。
本来ならば───正規の手段で神に見初められたのならば、ラドアは神子となることができただろう────そう言ったのは、ガルファルリエムだ。
無知な者どもが、“聖授の刻印”などという邪法で、無理に魂魄の底上げを強要しなければ、聖女ではなく神子となっていただろう────と。
初めて対面したときは気づかれることなく終わったが───何度も接していれば、白炎には、いずれラドアが聖女であったと気づかれるであろうことは予測していた。
<我が神子は、そのことは知らぬのだな?>
「ええ…。リゼには話しておりません。知らせない────それが、ガルファルリエムとの約束ですから」
自分という存在も、あの国のことも────誰にも話さない。見逃してもらう代わりに、そう誓った。
<そうか。奴との約束ならば仕方あるまい。我も秘めておくとしよう>
「ありがとうございます」
お礼を述べて────ラドアは苦笑を浮かべる。
リゼラは敏い子だ。
『元貴族ではないか』と噂されていたラドアが、文字の読み書きができないと知ったとき────その矛盾に、ラドアには何か事情があるのだと、リゼラは察したようだった。
白炎が黙っていてくれたとしても───今日のラナとの遣り取りを詳
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