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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#14
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れてきた伝承の大半が途切れてしまった。

 かつては恐れ敬われていた神々が───辛うじて残っていた伝承を曲解されて───願いを叶えてくれたり、奇跡を施してくれたりするような───人間にとって都合の良い存在として、物語などに描かれていることは、ラドアも知っている。

 だけど────神とはそんな生易しい存在ではない。

「ごめんなさい……」

 滅多にないラドアの剣幕に冷静になったらしいラナは────悄然と謝罪の言葉を零した。

「とにかく───ラギとヴィドを治療しなくては。ラナ、貴女は【治癒】という術を使えるのね?」
「はい」


 【治癒】────中級の【神聖術】だ。

 欠損した部位を再生することまではできないが───損傷した内臓を治すことはできる。

 だが、外傷とは違って、内臓を治療するには魔力がかなり必要となる。

 ラナの魔力量がどれくらいかは解らないが、慎重に行使した方がいいだろう。一人は治せても、二人目は魔力が足りなくて助けられなかったなどとなったら────どうしようもない。


「ラナ、貴女は魔術も使えるのよね?ケガの状態を調べるような魔術はない?」

 暗に【解析(アナライズ)】は使えるのか、ラナに確かめる。

 【解析(アナライズ)】が使えるのなら、二人の状態を詳しく調べて、【ポーション】でも治るような傷や自然治癒でも大丈夫なケガは後回しにして───先に、命に係わるような損傷をまずピンポイントで治していくのが最善だ。

「はい、あります!」
「では、それで二人の状態を調べてみてくれる?」
「はい!」

 ラナの足元とラギとヴィドの身体の下に魔術式が展開し、三人を包むように光が迸る。

 光が収まり、【解析(アナライズ)】が終わったと悟ったラドアが結果を訊ねると────ラナは、困惑した顔をラドアに向けた。

「それが───その…、よく解らないんです」

「どういうこと?」
「骨折や打撲は解るんだけど…、肝心の損傷しているところの名称が、知らない文字で書かれていて────読めないんです…」
「読めない…?」

 ラナのその言葉の意味を考えて、ラドアははっとした。【解析(アナライズ)】の結果は、基本、行使する者の使用言語で表現される。

(そうよ────ラナは、臓器や器官の名称など知らないんだわ…!)

 リゼラならば知っているだろう。魔物や魔獣を解体し、その臓器や器官を取引しているのだから。

 だが、そんなものとは無縁なラナが、知っているはずがない。

 ラナは───書かれているのは、()()()()()()だと言った。

 おそらく、ラナの知識の中には臓器や器官の名称がなかったため、“帝国
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