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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#14
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ほど難しくはない。
ラギもヴィドも剣を提げるベルトは巻いていたが、剣は見当たらなかった。
二人のボロボロのシャツを
開
(
はだ
)
けさせると、あちこちの肌が赤く変色している。腫れ上がっている箇所や、おそらく骨折しているのではないかと思われる個所もあった。
けれど───それよりも、一番の懸念は腹部だ。魔物もしくは魔獣に殴られたのか、腹部の大部分が赤くなっている。
(これは───もしかしたら…、内臓を損傷しているかもしれない────)
ラナが【ポーション】を持っていたとしても───【ポーション】では内臓の損傷までは治せない。治せるとしたら、それは【神聖術】だけだ。
ラナは───おそらく加護を授かっている。それならば、【神聖術】を行使できるはずだ。
「ラナ───二人のケガは思ったより深刻で、施療院では治せないかもしれない…。貴女は、何か治療できる術を持っていない?」
すべての事情を打ち明けられているわけではないラドアは、遠回しに訊くしかない。
「そんな───わ、わたし…、【治癒】は使えるけど───まだ一度もやったことなくて───それに…、今日は、リゼの魔力は使えないから────」
ラギとヴィドのケガが深刻だと聞いて───ラナは狼狽え、しどろもどろに答える。
「どうしよう───ああ…、リゼには連絡がとれないし───どうしたら…」
「ラナ、落ち着きなさい」
「…っそうだ───あなたは神なんでしょ?お願い、二人を治して…!」
ラナが弾かれたように振り向き、ついて来ていた白い神に向かって懇願する。しかし────神の答えは、ラナが望んだものではなかった。
<…それはできぬ。我は再生や浄化はできるが───治癒することはできぬのだ。仮にできたとしても───その童どもには我の神力は耐えられまい。おそらく、跡形もなく消えることになる>
「そんな…!何のための神なのよ…!やっぱり神様なんて当てにならない…!!」
ラナが悲痛に顔を歪めて、叫ぶ。
ラナの両親はどちらも、ラナが幼い頃に相次いで病気で亡くなっている。
ラナの生家は貧しく、ろくに医師に診てもらうことも薬を買うこともできず、両親は長く苦しんだ末────ラナの目の前で、なすすべもなく亡くなったそうだ。
また目の前で近しい人の命が失われようとしていることで、絶望を感じてしまったラナの心情も解らないでもなかったが────
「ラナ、おやめなさい!貴女が神に縋りたくなる気持ちも解ります。ですが…、神は────神という存在は、貴女が考えるような…、そんな都合の良い存在ではないのです」
今は“古代魔術帝国”と呼ばれる大陸を席巻していたあの国が
滅
(
・
)
ぼ
(
・
)
さ
(
・
)
れ
(
・
)
────連綿と受け継が
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