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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#14
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※※※
「今日は来てくれてありがとう───ラナ。それから───ミナ。せっかくのお休みなのに、手伝ってくれてありがとう」
孤児院のダイニングで、テーブルの厨房寄りの位置に並んで座るラナとミナの前に、温かいハーブティーの入ったマグカップを置いて───ラドアはラナとミナを労った。
「わ、ありがと、院長先生」
「院長先生、ありがと」
ラナとミナは、嬉しそうに、それぞれお礼を言ってマグカップに手を伸ばす。
今日は、子供たちを色々と指導してくれているラムルとカデアが来られないとのことで────急遽、代わりにラナが、裁縫の手ほどきをしてくれることになった。
偶然、仕事が休みだったミナが、ラナの助手を務めてくれ───ラナ、ミナ、ラドアの三人で手分けして、初めて裁縫に携わる子供を特に見守りながら、子供たちに自分が宛がわれている服の繕いをやらせて───今はその指導を終えたところだった。
片付けも終わり、指導を受けていた子供たちも自分の部屋へと引き揚げており、ここにいるのはラドアたち三人だけだ。
平民街に魔獣が放たれるかもしれないという懸念はラドアにも知らされていたけれども、未だ騒ぎが起きる様子はなく────秘かに緊張していたラドアは、温かいお茶を口に含むとようやく気が緩んだ。
カデアが孤児院を出て行った後、しばらく動揺していたラナは、すっかり落ち着きを取り戻している。
ラナの肩には、神である純白の鳥が留まっているが───姿をくらませているため、隣に座るミナは気づいていない。ラドアは気づかない振りをしていた。
「それにしても───ミナ。しばらく見ないうちに、かなり腕を上げたんじゃない?」
「え、そうかな?」
「うん。速いのに、縫い目は揃っていて綺麗だし───とても丁寧な仕上がりだった」
「えへへ、ラナ姉さんにそう言ってもらえると嬉しいな」
ミナは、言葉通り、本当に嬉しそうに顔を綻ばせる。
「ミナはケイナさんのところに残るつもりなの?」
ケイナのアトリエは───この皇都でお針子となる者の登竜門の一つだ。
見習いを卒業したら、他のアトリエに移る者も少なくない。ラナもその一人だった。
ラナの問いかけに───ミナは、少しだけ躊躇ったような様子を見せてから、意を決したように表情を引き締め、口を開いた。
「……ラナ姉さんは、リゼ姉さんのお針子になったんだよね?」
「そうよ」
「あの───あのね…、わたしも、リゼ姉さんのお針子になりたいの」
ラナは、ミナの言葉が意外だったようで眼を見開いたが───ラドアは、やはりと思っただけだった。
アーシャがリゼラの侍女となったことにより、リゼラの下で働くという選択肢ができたことに気づいたらしく
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