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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#13
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。あのとき───【覚醒】で身体を強化していたので、吹き飛んだだけで済みましたから」
「俺も、大丈夫です。ご心配ありがとうございます───リゼラ様」
「それなら、良かった。でも、念のため【快癒】をかけておくね」

 【快癒】をかけてから、ジグとレナスを【心眼(インサイト・アイズ)】で視る。二人とも、目に見える不調はない。

 魂魄の損傷については────レド様も含めて、後で確認しよう。白炎様やアルデルファルムに視てもらう方がいいかもしれない。


「どうやら、向こうも決着がついたようですね。争いの音が止んでいる」

 ジグの言葉に耳を澄ましてみれば───確かに、先程まで断続的に聞こえていた騒音は止んでいる。

 私は表情を引き締めて───改めて、ジグとレナスに向き直った。

「レナス───【管制室(コントロール・ルーム)】にいるレド様を、お邸に連れ帰って休ませてもらえる?」
「かしこまりました」

「ジグ───私は、まだやらなければならないことがある。悪いけど、引き続き護衛してくれる?」
「御意」

 本当はレド様のお傍についていたいし、ジグのことも休ませてあげたいけれど────レド様が動けない今、私が先頭に立って事の収拾を図らなければならない。

 私は感情を振り払い、仲間たちの許へ向かうべく、踵を返した。


◇◇◇


 ジグを伴って、隣の広間に戻ると────ラムルが、ディルカリド伯爵と思しき痩せた男を、後ろ手に縛り上げているところだった。

 ディルカリド伯爵は首筋に浅い切り傷がある以外にケガしている様子はなかったが、跪いて項垂れていて────妙に大人しい。

 ディルカリド伯爵の足元には、ヴァルトさんに似た切り傷だらけの大柄な男が倒れている。

 少し離れたところに、ディンド卿、アーシャ、ヴァルトさんが───ディルカリド伯爵と同様に俯いて座り込んでいることに気づいて、不安が湧き上がった。

 ラムル、セレナさん、ハルドの三人は無事なようで────それだけは安堵する。


「リゼラ様、ご無事で何よりです。────旦那様は?」

 私たちに気づいた三人は、ほっとしたように表情を緩ませたが───レド様の姿がないことにラムルが一瞬不安気な表情を見せた。

「実は────」

 私は、隣の区画に施されていた魔術式のこと────それによって、レド様はおそらく前世の記憶を思い出しているだろうことを打ち明ける。

「……そうですか。思い出されてしまったのですね」

「ごめんなさい…、ラムル」
「何故、リゼラ様が謝られるのです?」
「私が…、昨日のうちに【最適化(オプティマイズ)】を済ませておけば────こんなことにはならなかった…」

 改めて、後悔の念
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