暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#12
[6/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
らせないよう、強く言い含めてあったのに────まさか、ヒグスが知っていたとは思わなかった。

 だが───今のこの状況がヘアナの件が原因だと判ったペギルは、逆に希望を持った。これで、ヒグスを言い包められる───と。

「ちがうんだ、おまえは誤解をしている!オレは、ヘアナを愛していたんだ!ヘアナと別れたくなかったけど、ジェミナに脅されてしょうがなく」
「俺は───おまえがしたことを知っていると言ったはずだ。おまえが…、邪魔になったヘアナを始末するために、ジェミナを嗾けたことも───目の前で辱められているヘアナを助けようともせず────ジェミナと一緒に嘲笑っていたことも」

 凍てついた声音でそう告げるヒグスには、先程のような激情は見当たらない。もう───ペギルが何を言おうとも、ヒグスは聞くつもりなどないのだ。

 ペギルは───ヒグスのことを、自分より顔が劣っているだけでなく、妹の仇を取りたいと言いながらも何も知らないバカな男だ───と、そう思っていた。それなのに───そう侮っていた男に、今、ペギルは殺されそうになっている。

 何も知らないのは────知らなかったのは、ペギルの方だった。

(そんな────オレは…、ここで死ぬのか?このオレが、こんなところで…?────い、いやだ…!)

「こ、こんなところで───おまえの私怨なんかでオレを殺したら、閣下が黙っていないぞ…!」

 それは苦し紛れだったが────言ってから、ペギルは自分の言ったことが正しいような気がして、勢いを得る。

 ジェスレムとファミラを魔獣に殺させたのに───自分の死体が見つかれば、ガラマゼラ伯爵にとっては都合が悪いはずだ。

「きっと閣下に────」
「残念だったな。その閣下のご命令だ────おまえをここで殺せ、と」

「は?───閣下が…、なんで、オレを…?」
「ジェスレムとその親衛騎士が殺された現場で、ジェミナに恨みを持つおまえの死体が発見される。当然───ジェミナへの怨恨を持つ者の関与が疑われることになる。ジェミナに恨みを持つ───ルガレド皇子の関与が」

 ヒグスは、何でもないことのように淡々と続ける。

「閣下は───ルガレド皇子諸共、“双剣のリゼラ”を始末するおつもりだ。おまえの死体が見つかった上で、ルガレド皇子の関与をほのめかせば───後は、義憤に駆られた皇妃一派がルガレド皇子の仕業だと、勝手にでっちあげてくれるというわけだ」
「そ、んな────」

 一縷の望みを砕かれて愕然とするペギルに───ヒグスは一切の慈悲を見せることなく、告げる。

「だから────潔く死ね」

「ひ───いやだっ、やめろっ、やめてくれっ、オレは───オレは、まだ死にたくない…っ!!」

 恐怖のあまり、涙が溢れる。ペ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ