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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#12
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らせないよう、強く言い含めてあったのに────まさか、ヒグスが知っていたとは思わなかった。
だが───今のこの状況がヘアナの件が原因だと判ったペギルは、逆に希望を持った。これで、ヒグスを言い包められる───と。
「ちがうんだ、おまえは誤解をしている!オレは、ヘアナを愛していたんだ!ヘアナと別れたくなかったけど、ジェミナに脅されてしょうがなく」
「俺は───おまえがしたことを知っていると言ったはずだ。おまえが…、邪魔になったヘアナを始末するために、ジェミナを嗾けたことも───目の前で辱められているヘアナを助けようともせず────ジェミナと一緒に嘲笑っていたことも」
凍てついた声音でそう告げるヒグスには、先程のような激情は見当たらない。もう───ペギルが何を言おうとも、ヒグスは聞くつもりなどないのだ。
ペギルは───ヒグスのことを、自分より顔が劣っているだけでなく、妹の仇を取りたいと言いながらも何も知らないバカな男だ───と、そう思っていた。それなのに───そう侮っていた男に、今、ペギルは殺されそうになっている。
何も知らないのは────知らなかったのは、ペギルの方だった。
(そんな────オレは…、ここで死ぬのか?このオレが、こんなところで…?────い、いやだ…!)
「こ、こんなところで───おまえの私怨なんかでオレを殺したら、閣下が黙っていないぞ…!」
それは苦し紛れだったが────言ってから、ペギルは自分の言ったことが正しいような気がして、勢いを得る。
ジェスレムとファミラを魔獣に殺させたのに───自分の死体が見つかれば、ガラマゼラ伯爵にとっては都合が悪いはずだ。
「きっと閣下に────」
「残念だったな。その閣下のご命令だ────おまえをここで殺せ、と」
「は?───閣下が…、なんで、オレを…?」
「ジェスレムとその親衛騎士が殺された現場で、ジェミナに恨みを持つおまえの死体が発見される。当然───ジェミナへの怨恨を持つ者の関与が疑われることになる。ジェミナに恨みを持つ───ルガレド皇子の関与が」
ヒグスは、何でもないことのように淡々と続ける。
「閣下は───ルガレド皇子諸共、“双剣のリゼラ”を始末するおつもりだ。おまえの死体が見つかった上で、ルガレド皇子の関与をほのめかせば───後は、義憤に駆られた皇妃一派がルガレド皇子の仕業だと、勝手にでっちあげてくれるというわけだ」
「そ、んな────」
一縷の望みを砕かれて愕然とするペギルに───ヒグスは一切の慈悲を見せることなく、告げる。
「だから────潔く死ね」
「ひ───いやだっ、やめろっ、やめてくれっ、オレは───オレは、まだ死にたくない…っ!!」
恐怖のあまり、涙が溢れる。ペ
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