暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#12
[3/7]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
そして───あの【聖剣】と競り合うと、剣身が黒く腐食することが判っている。黒く変色して崩れ落ちる────これは、魔素に侵されたときの特徴だ。
固定魔法【結界】を行使できることから───魔獣の前世はエルフだったと考えられる。
アルデルファルムは───エルフの魂魄には、魔素が融合していると言っていた。それなら───魔素ならば、浄化できるはずだ。
纏った魂魄を浄化して───ほんの一瞬でも【聖剣】でなくなれば、あの剣を破壊することができるかもしれない。
≪レナス、折を見て後退して!【聖剣】が纏う魂魄を浄化するから───魂魄が消えたら、剣を破壊して!≫
≪御意!≫
私は【
心眼
(
インサイト・アイズ
)
】を発動させると同時に、弓矢を抜身の【ツイノミツルギ】に替えて───レナスが後ろに跳び退いた瞬間、床を蹴る。
擦れ違いざま、レナスを追撃しようと突き出された【聖剣】を、両手の【ツイノミツルギ】で絡めとるようにして押さえ込む。
【ツイノミツルギ】は位階としては【神剣】であるものの、浄化はできても物質を斬ることはできない───が、【聖剣】に折られてしまうこともなかった。
そのまま【
身体強化
(
フィジカル・ブースト
)
】を発動して魔獣の膂力を押さえながら───【ツイノミツルギ】に魔力を流す。
すると、【ツイノミツルギ】の刃が触れている箇所の揺らめきが、まるで風に煽られた炎のように、すうっと消えた。
魂魄ごと浄化できることを確信した私は、一気に浄化すべく、固有能力をも発動させる。
「【
浄化
(
ピュリフィケーション
)
】!」
私の魔力が眩い光となって、魔獣の持つ【聖剣】の剣身を包んだ。炎のように揺らめいていた魂魄が、煙のように溶けていく。
それに伴って、大量の魔力が抜け───身体が重くなる。固有魔力が残り少なくなっているのだろう。
でも───今、倒れるわけにはいかない。奥歯を噛み締めて耐える。
幸い、固有魔力が枯渇してしまう前に、剣に纏わりついていた魂魄がすべて消え────私は叫んだ。
「レナス!」
魔獣の魂魄が消失したわけじゃない。再び魂魄が補充されないうちに、早く剣を破壊しなければならない。
私から見て左側面に奔り込んだレナスが、【聖剣】のガードの下───剣の付け根を狙って、黒刀を抜き放つ。
この剣が、【聖剣】ではなくなっても、剣身に
聖銀
(
ミスリル
)
と
聖結晶
(
アダマンタイト
)
が使われていることには変わりなく、ただの剣では傷つけることすらできない。
だけど、破壊できるはずだ。その漆黒の【霊刀】────“
冥
(
めい
)
”ならば。
ピキ───と微かな音が響き、鏡のように曇りのない
聖銀
(
ミスリル
)
の剣身に漆黒の刃が食い
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ