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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#12
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 そして───あの【聖剣】と競り合うと、剣身が黒く腐食することが判っている。黒く変色して崩れ落ちる────これは、魔素に侵されたときの特徴だ。

 固定魔法【結界】を行使できることから───魔獣の前世はエルフだったと考えられる。

 アルデルファルムは───エルフの魂魄には、魔素が融合していると言っていた。それなら───魔素ならば、浄化できるはずだ。

 纏った魂魄を浄化して───ほんの一瞬でも【聖剣】でなくなれば、あの剣を破壊することができるかもしれない。

≪レナス、折を見て後退して!【聖剣】が纏う魂魄を浄化するから───魂魄が消えたら、剣を破壊して!≫
≪御意!≫

 私は【心眼(インサイト・アイズ)】を発動させると同時に、弓矢を抜身の【ツイノミツルギ】に替えて───レナスが後ろに跳び退いた瞬間、床を蹴る。

 擦れ違いざま、レナスを追撃しようと突き出された【聖剣】を、両手の【ツイノミツルギ】で絡めとるようにして押さえ込む。

 【ツイノミツルギ】は位階としては【神剣】であるものの、浄化はできても物質を斬ることはできない───が、【聖剣】に折られてしまうこともなかった。

 そのまま【身体強化(フィジカル・ブースト)】を発動して魔獣の膂力を押さえながら───【ツイノミツルギ】に魔力を流す。

 すると、【ツイノミツルギ】の刃が触れている箇所の揺らめきが、まるで風に煽られた炎のように、すうっと消えた。

 魂魄ごと浄化できることを確信した私は、一気に浄化すべく、固有能力をも発動させる。

「【浄化(ピュリフィケーション)】!」

 私の魔力が眩い光となって、魔獣の持つ【聖剣】の剣身を包んだ。炎のように揺らめいていた魂魄が、煙のように溶けていく。

 それに伴って、大量の魔力が抜け───身体が重くなる。固有魔力が残り少なくなっているのだろう。

 でも───今、倒れるわけにはいかない。奥歯を噛み締めて耐える。

 幸い、固有魔力が枯渇してしまう前に、剣に纏わりついていた魂魄がすべて消え────私は叫んだ。

「レナス!」

 魔獣の魂魄が消失したわけじゃない。再び魂魄が補充されないうちに、早く剣を破壊しなければならない。

 私から見て左側面に奔り込んだレナスが、【聖剣】のガードの下───剣の付け根を狙って、黒刀を抜き放つ。

 この剣が、【聖剣】ではなくなっても、剣身に聖銀(ミスリル)聖結晶(アダマンタイト)が使われていることには変わりなく、ただの剣では傷つけることすらできない。

 だけど、破壊できるはずだ。その漆黒の【霊刀】────“(めい)”ならば。

 ピキ───と微かな音が響き、鏡のように曇りのない聖銀(ミスリル)の剣身に漆黒の刃が食い
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