暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#12
[2/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
に生まれた風刃が、無防備となった魔獣に向かっていったが───【聖剣】によって弾かれて届くことはなかった。

 これは────非常に厄介な状態だ。

 魔術にしろ物理にしろ、魔獣に攻撃を入れるには【結界】と【聖剣】の両方をどうにかしなければならない。

 特に厄介なのは【聖剣】だ。魔獣の巨体に合わせた幅広の両手剣のため、最小限の動きで広範囲をカバーできてしまう。


 私は取り寄せた弓矢で、魔獣と剣戟を交わすレナスを援護しながら───何かいい方法はないか、考えを回らせる。

 レナスに【聖剣】を引き受けてもらい、私が【結界】を崩して、さらに攻撃を入れるしかないが────問題は、レナスが魔獣を押さえ続けるのが難しいことだ。

 競り合う様子を見る限り───レナスの刀術の技量が、魔獣の剣術の技量を上回っているように思える。

 だけど、魔獣と剣の巨体さがその技量の差を補って───しばらく競り合っていると、次第にレナスが押されてくる。

 これでは────【結界】を崩しても、結局、先程と同様に【聖剣】で防がれることになる。

 魔獣に向かって矢を番え放ちつつ、他に使える手札がないか考え続ける。


 【聖騎士(グローリアス・ナイト)の正装】が頭を過るも───あれは魔素が満ちている環境でなければ使えないと、すぐに打ち消す。

 先程まで予備炉を含め【魔素炉(マナ・リアクター)】を最大限稼働していたため、辺りを漂う魔素は僅かしかない。

 自分の魔力でその性能を引き出すこともできるが、かなりの魔力を要するので悪手になりかねない。

 魔力の残量はまだ枯渇するほどではないものの───大分、消費してしまっている。魔術を撃つにしても、物理攻撃をするにしても、魔力は必要だ。


 レナスと私の役割を替えてみることも考えたけれど────レナスは、あまり魔術が得意ではないため、発動速度はそれほど速くない。

 【聖剣】を抑えられたとしても、【結界】を張り直されたら意味がない。


 レナスの固有能力【絶禍】は、広範囲に及ぶ魔術を防ぐというものだから、今の状況では使いようがない。

 レナスが行使できる神聖術【覚醒】は、身体能力を強化する【身体強化(フィジカル・ブースト)】の上位互換のような術で、こちらはすでに行使している。
 ただ、魔力も相応に使うから───常時ではなく、必要に応じて発動させているみたいだ。

 よって────どちらもこの状況を打開できるようなものでない。



 こうなると────やはり、【聖剣】をどうにかするしかない。

 これまで得た情報を、もう一度思い出してみる。

 まず───魔獣の持つ【聖剣】は、魂魄を剣身に纏うことで【聖剣】のスペックを装っている。

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ