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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#11
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刀でしかない。太刀を扱えるわけではないレナスには、魔獣への対抗手段にならない。
「そんなことをするよりも、剣を取り寄せた方が────」
言いかけて、気づく。レナスは、先程から【月虹】を“太刀”と表現している。以前は、“剣”と言っていたのに────
レナスに感じた微かな違和感を思い出す。
レド様と共にいたレナスが、あの魔術から逃れられたはずがない。多分、レナスにはあるのだ───私が与えた対魔獣用武器とは、別の───“太刀”に関する記憶が。
「レナス───貴方は…、“太刀”を───いえ、“刀術”を扱えるのね?」
「はい。おそらくは────貴女と同じ流派のものを」
それは…、すなわち────レナスと私は、前世、同じ世界を生きていたということになる。
その事実に、思考を持って行かれそうになるのを───ぐっと堪える。詳しい話は、すべてを終えてからだ。
「レナス、そのまま“太刀”を持っていて」
私は、レナスと太刀を一緒に包むようにして、【
最適化
(
オプティマイズ
)
】を施す。
この方が───【創造】で創り替えるより、レナスの求める刀が出来上がるはずだ。
私の身体から相当量の魔力が抜けて───【
最適化
(
オプティマイズ
)
】の眩い光が、レナスを包んだ。
光が収まったとき───レナスの手には、柄も鍔も鞘も、夜闇そのままのような───漆黒の太刀が握られていた。
私は、続けて【
防衛
(
プロテクション
)
】を発動させる。
レナスは、手の中の漆黒の太刀を───自分の為だけに創られた刀を、暫し見つめてから───顔を上げて微笑む。
「ありがとうございます────リゼラ様」
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