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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#11
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───レナスと合流しなければ。
見る限り、ケガはなさそうだけど────両手に持つ2本の短剣だけで戦っているレナスは、魔獣が繰り出す剣の切っ先を僅かに逸らすのが精一杯で、防戦一方となっている。
一旦、レナスを魔獣と引き離して、仕切り直す。そう決め────私は、奔りながら魔術を発動させた。
「【
疾風刃
(
ゲイル・ブレイド
)
】!」
風となった光の奔流が、魔獣の首元目掛けて向かっていく。魔術は、魔獣に届く直前で────見えない壁に弾かれた。
【聖剣】で防がれるか、後退すると考えていた私は、一瞬、虚を衝かれる。
あれは────【結界】?
視れば───魔獣の前面に、編み込まれた魔力が壁のように立ちはだかっている。間違いない。これは────エルフの固定魔法だ。
まさか────この魔獣が張ったの?
ジグを捕えている───記憶を強制的に甦らせる魔術の存在が頭を過る。
魔獣の魔力量は人間などより遥かに多い。あの魔術を発動させることは可能なはずだ。位置的にも、あの魔術式を通過してきた可能性は高い。
でも、それなら────この魔獣の前世はエルフだったということ…?
そこまで考えて、私は思考を切り替える。
つまり、この魔獣は───魔獣にしては高い知性だけでなく、エルフとしての経験、技能を持ち合わせているものと考えられる────今は、その情報さえあればいい。
私は、短剣を2本取り寄せ───まず、1本を魔獣の顔面付近に向かって投げつけた。そして、一拍置いて、もう1本を投擲する。
初めに放った霊剣である短剣が、【結界】を斬り裂く。【結界】は瞬く間に
解
(
ほど
)
け、無防備となった魔獣に2本目の短剣が襲う。
短剣とはいえ霊剣を危険だと判断したのか────魔獣は【聖剣】でそれを弾いた。
魔獣の気が逸れたその一瞬を見逃さず、レナスが後退する。
「【
重力
(
グラビティ・
)
操作
(
オペレーション
)
】!」
レナスが離れた瞬間を狙って、魔術を発動させる。
魔獣が重力に囚われ膝をついたのも束の間────魔獣は、その膂力で以て重力に逆らい、足元の魔術式に【聖剣】を突き立てた。
「リゼラ様!」
「レナス、私の後ろに下がって!」
自由になった魔獣が、その巨体で迫り来る。
「【
防御壁
(
バリケード
)
】!」
私は咄嗟に、【
聖騎士
(
グローリアス・ナイト
)
】となって与えられた特殊能力で防壁を張った。魔獣は見えない壁に阻まれ、こちらには近づけない。
突如現れた壁が気に障ったのか────魔獣は乱暴に【聖剣】を叩きつけるが、私の予想通り、魔術のようには砕けない。
【聖剣】と共に与えられた特殊能力だ。【聖剣】をも防ぐのではないか
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