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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#11
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きだった。

 このことに思い当たっていれば────思い当たらなくても、おじ様に注進することを優先せずに、昨日のうちに【最適化(オプティマイズ)】を済ませておけば────

 そんな後悔に呑み込まれそうになったとき────固いものが床を抉る音が響くと同時に、足元が小さく揺れた。

 反射的に視線を向けて────私は、レナスが魔獣と交戦中であることを思い出す。

 レナスの援護に向かうはずだったジグは、魔術に囚われて動けない。レナスは、今────巨大化した魔獣と一人で戦っている。

 前世の記憶が甦ったであろうレド様のお傍についていたい。ついてはいたいけど────レナスを失うわけにはいかない。

「…っ」

 私は、もう一度、レド様に目を遣ってから────振り切るように視線を上げた。

 ジグは蹲って、未だに頭を押さえている。強制的に魔術を中断することに不安を覚えた私は、ジグはそのままに────【転移(テレポーテーション)】で、レド様だけを【管制室(コントロール・ルーム)】へと移動させる。

「ノルン───レド様をお願い。それから、レナスと私の【魔力炉(マナ・リアクター)】を繋げて」

───解りました、(マスター)リゼラ───

 気絶しているレド様が現れたせいか、ノルンの声音は少し動揺しているように感じられた。

 レド様を安全な所に送ったことで、ほんの少しだけ安心する。

 ジグの周囲に【結界】を施すと────私は、レナスと共に戦うべく、駆け出した。


◇◇◇


「────っ聖剣…?!」

 レナスの許へ向かいながら、【心眼(インサイト・アイズ)】をもう一度発動させた私は、魔獣の持つ剣が【聖剣】であることに、思わず驚きの声を漏らした。

 だけど───それなら、剣が魔獣の巨体に見合う大きさであることも納得できる。私の【聖剣】が刀へと変貌したように、あの剣も魔獣に合わせて大きさが変化したのだろう。

 剣身が炎のように揺らめいて見えるのは、魂魄を纏っているかららしいが───その性能は私の【聖剣】と変わらないようだ。

 とはいうものの───【聖剣】の性能は、まだ検証できていない。

 こんなにすぐ、希少であるはずの【聖剣】と遭遇するなどと考えてもみなかったのだ。ましてや────競り合うことになるなど。

 加えて───気になる点が一つ。魔獣の動きが巨体の割に素早いだけでなく、いやに理知的に思えることだ。

 ディルカリド伯爵が造り上げた魔獣がいくら理性を失わず、知能が少し上がっているようだとはいえ───それでも、魔物から大きく逸脱するほどではなかった。

 だが、レナスと対峙している魔獣には、今までになく知性が感じられた。


 とにかく
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